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同志との別れ
証拠は潤紀が調べている。捜査一課はこの事件をどのように扱うか悩んでいるようだ。
「目撃者がいるらしい。特殊犯罪課に任せることにする。捜査一課は新たな事件が生まれているからそれに集中する。いいな。」
荻は許せなかった。やり投げのように事件を扱うことを。被害者の気持ちに寄り添うのが警察だと信じていた。
「そんなことしたくありません。あまりにも無責任じゃないですか?特殊犯罪課は5人でやっている。一課は何十人といるのに。」
「荻、それならお前はいらない。此処から出ていきたまえ。組織の人間が言うべき言葉ではない。」
「何処か空く交番なら行きます。巡査に格下げしてもらっていいです。こんな恥ずかしいところにいたくない。」
荻はそそくさと出ていた。4人の目には現実が写っていた。あのとき特殊犯罪課に来たのは捜査一課に対する抗議であったと。一課長は頭を抱えていた。大切な仲間であると思っている奴はいくらいるのだろうと考えてしまった。