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白の魔王の物語  作者: まる
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49話 また会えました!

 カランと、ドアベルが鳴る。

 ああ、懐かしいな、この音。

 食事の時間帯には扉を開けた瞬間からお客さんのざわめきが聞こえてくるけれど、もうお昼は過ぎている時間だ。ちらほらと3、4人のお客さんがいるだけだった。


「いらっしゃ……」


 ドアベルに反応して、テーブルを拭いていたおかみさんが顔を上げた。一瞬目を見開いてから破顔する。


「ジュジュ! 良く来たね!!」


 あっという間に、大きな腕に抱きしめられる。


「おかみさん、お久しぶりです」

「うんうん、久しぶりだね。元気そうで良かった!」

「まだ数週間も経ってないだろ」


 ジェイクさんが呟くと、おかみさんはキッと睨みつけた。


「再会を喜んでるのに水を差すんじゃないよ! 無粋な男だね!! ジュジュ、こいつにいじめられたりしてないかい?」

「だ、大丈夫ですよ。今日も助けて頂いたばかりで……」

「助けてって……何かあったのかい!? そういえば、あんた。王都に向かってたんだろ? どうしてこの町にいるんだい?」

「えーと……」


 おかみさんの疑問も最もだ。

 けれど、わたし自身まだ状況が分かっていなかったりする。

 返答に困っていると、ウィナードさんが横から助け船を出してくれた。


「ちょっと色々ありまして。その事について説明するのに、この食堂をお借りしたいんですけど」

「ああ……じゃあ人払いした方がいいね。お客さん! ごめんよ!! ちょっとここを貸し切りにするから、隣の酒場に移動してもらって良いかい? お詫びに飲み物を一杯おごるからさ」


 大きな声でお客さんを誘導し、一緒に出ていったおかみさんは、数分もしないうちに戻って来た。

 食堂に入ってくるなり、エプロンを外して、当たり前のように中央のテーブルにつく。


「さ、何があったのか話してもらおうかね」


 まるで中心人物の様に腕を組んでウィナードさん達の答えを待つおかみさん。

 ……これはきちんと説明を受けないと容赦しないって感じですね!

 おかみさんの前では勇者様も帝王様も形無しだ。おかみさんの無言の訴えに従い、中央のテーブルにつく。残ったジオさんだけがきょとんとしていた。


「あんたも同席するのか?」

「当然だよ! あたしはこの町じゃジュジュの親代わりみたいなもんなんだからね! ところであんたは誰だい?」

「あ、ああ。俺はジオルグ。ジュジュの親代わりか……それならあんたにも、謝らないといけないな」


 気まずそうな顔をするジオさんに、おかみさんは訝しげな顔をしたけれど、「とりあえず座んな」と声をかけた。


「取りあえず状況を説明してもらわないと、謝られたってわけが分からないよ。さ、きっちり話しして貰おうか」


 おかみさんの威圧感を前にして、ウィナードさんの丁寧な説明が始まった。

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