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白の魔王の物語  作者: まる
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39話 ドレスとかもう勘弁して下さい! とは言えない・・・。

 部屋の中には、所狭しとドレスやら装飾品やらが広げられていて、足の踏み場がない状況だ。

 その中で、鈴さんとアンさんは生き生きと服を選んでいる。


「ジュジュ、ちょっと来て」


 鈴さんに声をかけられ、近付くと、体の上から青いドレスをあてられた。


「ねえ、アン。これなんてどう?」

「青ですか……似合いますけど、もう少し明るい色の方が良くありませんか? この黄色のドレスはどうでしょう」

「うーん……。確かに似合うけど、フリルがね……ジュジュって可愛い系の顔立ちだから、幼く見えちゃいそうだわ」

「あー、なるほど……では、こちらの緑色の方は?」

「ちょっと地味ね。それなら、これはどう?」


 楽しそうにしている二人に完全に置いてけぼり状態だけど、今二人が選んでいるのはわたしの服らしい。


「あ、あの……わたしはこのままでも」


 二人の会話が途切れたタイミングを見計らって声をかけてみる。すると、二人が揃ってこちらを見た。


「だめよ」

「だめです」


 声も揃って拒否された……。


「あのね、今日はメイジェスの感謝祭なのよ?」

「そうです! 今おしゃれをしないで、いつするんですか!」

「他の人達もばっちりおしゃれしてくるのよ? そんな普段着のワンピースじゃ浮いちゃうでしょ!」

「で、でも……」


 この部屋に散らばっているドレスは皆、あの奥さんの物だ。朝食の時にわたしが感謝祭に行くことをウィナードさんから聞くと、何故か張り切って大量のドレスを用意してきてくれた。

 どれを着ても良いわよ、とにこにこしながら言ってくれたけれど……。


「誰かの服を借りるなんて、緊張しますし……。それに汚してしまったらと思うと」


 綺麗なドレスを着られることに、正直不安しかない。

 素直に気持ちを打ち明けると、鈴さんはカラカラと笑った。


「なぁに、そんなこと気にしてたの? 大丈夫よ。あの奥さんだって汚れるのを承知して貸してくれたに決まってるでしょ!」

「そうですよ、ジュジュ様。お気になさらないでください。奥様の事ですから、汚れたらすぐ別のドレスを新調なさいますわ」

「流石、ベルナンド商会の奥方よね~。太っ腹! ……あ、これいいんじゃない!?」

「あ、それは良いですね! お似合いになられそうです」

「そうよね! ほら、ジュジュ、これに着替えてみて!」


 ええ~……。

 わたしの不安をよそに、またドレス選びが始まってしまった。


「でも、あの」

「いいから! あたしも出掛けなくっちゃいけないし、早く着替えて!」

「は、はい……」


 結局断れずに、アンさんには髪のセット、鈴さんにはメイクまでされました。

 ああ……こんなに流されてばっかりで本当に大丈夫なのかな、わたし……。

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