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白の魔王の物語  作者: まる
39/61

38話 彼の行動は全く読めません

忙しく、投稿が遅くなってしまいました。すみませんでした!

 わたしはベランダに出て夜風に吹かれていた。お風呂上がりの火照った体に、涼しい風が吹き抜けて気持ちが良い。

 空にいくつかの星と、眼下に町の明かりが見える。

 明かりは青や赤の様々な色で、至る所に見えていた。明日の感謝祭の準備が出来ている証拠だろう。


「お祭りかぁ……」


 結局明日はクーファと一緒にお祭りに行く事になった。その提案は、少しでも気晴らしが出来る様にというわたしへの気遣いだろう。

 申し訳ない気持ちがあるけれど、それ以上にわくわくしている気持ちもあった。

 だって、お祭りなんて今まで行った事がない。島では魔王様が継承した日にお祝いする事があったけど、わたしには行く権利がなかった。

 一体お祭りってどんなものなんだろう。

 明日のお祭りに思いを馳せていると、


「おい」

「はいっ!?」


 すぐ真横から声をかけられ、変な声が出た!


「ジェジェイクさん!?」


 いつの間に!?

 ジェイクさんは気だるげな顔で、部屋の方を見た。


「鈴は?」

「鈴さんですか? 鈴さんなら、まだ食堂で飲んでいるみたいですけど」


 エメリア様の護衛がかなりきつかったらしく、「飲まなきゃやってらんない!」とジョッキを机に叩きつけていた鈴さんの姿が思い起こされる。

 ジェイクさんもその姿を思い出したらしい。


「ああ、かなり荒れてたな」

「エメリア様の護衛、色々と我儘言われて大変だったみたいですから。ジェイクさんを探して町中引きずりまわされたって言ってましたよ」

「ご苦労な事だな」


 他人事ですね、ジェイクさん。

 にやりと笑うジェイクさんに、思わずため息が出る。


「なんだ?」

「いえ……別に。それより、鈴さんに用事だったんですか?」

「いや」


 ジェイクさんがぐっと身を乗り出してわたしの顔を覗き込んできた。

 ち、近い。


「な何でしょうか?」

「明日、感謝祭に行くのか?」

「え、あ、はい……折角だから見に行こうかと。クーファも来てくれるそうなので」

「これを付けていけ」

「え?」


 思わず両手を出して差し出された物を受け取る。

 手のひらには、花の形の髪飾りが乗っていた。


「あの、これは……」

「お前は良い玩具になりそうだからな」

「はい!?」


 なにその不穏な台詞!


「付けていかなかったら……どうするかな」

「付けます付けます! 肌身離さず付けておきます!」

「左側に付けておけよ」

「わかりました!」


 すぐさま左側の髪をまとめて髪飾りを付ける。

 ジェイクさんはそれを見て満足そうに頷くと、室内に戻って行った。


「はぁ……」


 緊張感が一気に抜けてへたりこんでしまう。

 ジェイクさん、何を考えているか分からなくって本気で怖いです……。


 髪飾りのお礼を言わなかった事に気が付いて、まずいどうしよう消される! という不安に慄いたのはベッドに入ってからだった。

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