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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

愛してるって言っちゃうじゃない!

作者: トマちゃん

拉致監禁系の犯罪感のあるシーンあり、生理的に無理な方はブラウザバックです。

「すまない!」



そう言って頭を下げるのは私の婚約者。



「今さら何言ってんのよ!」



現在29歳独身、今晩12時を過ぎれば30代の仲間入りだ。


私の婚約者、吉田陽介(よしだようすけ)は大学時代から友人からの薦めで出逢い付き合い初め9年になる。



住む場所こそ違ったが一緒に寝たことだってある。いくら誘っても夜の行為は一回もしてくれなかったけど好きだとも愛しているともお前だけだと何度も言ってくれた。



あれば嘘だったのだろうか…。

いや、逃避はやめよう本当は気付いていた。彼が仕事を理由に私とデートを余りしなくなったりした。


彼がたまに女の匂いを纏わせていることも知っていた。何時もなら仕事の電話でも席を外さずにその場で通話を始めてしまうのに最近は電話が来るといつも席を外している。

その後の言葉はいつもこれ「すまない会社に呼ばれた」と、それでも私は信じていたのだ…。


しかし現実は非情な物で何も30歳になる日に限って良いレストランで食事とか期待しない訳がない。



結局私の望んだ言葉は彼から出てくる事はなかった。


彼にはやっぱり浮気相手が居たらしい、でもって孕ませてしまったそうだ。


レストランは貸し切りで他に客は居ないが店員は居る、彼らはこの修羅場にあたふたしてたが関係ない私は怒りに任せて彼を罵倒した。


そんな弾丸トークを繰り広げる私に彼はポツリと言った、相手はまだ18歳なんだと、それを聞いて怒りを一周回って呆れてしまった。




さてこれからどうしたものだろうと…。アパートの近くの公園で今後の人生設計を組み立て直しはじめる。


まあ生きる分には問題ないのだ給料だって現代風に言えばパネェ程に貰っているから、問題はこれから一生独身で子が出来ずに私の人生が終わる可能性が一気に増してしまった事だ。



「ふっ…」



私はあの男が挨拶にいく際に相手のご両親に殴られれば良いと、その時の状況を妄想し少し笑った。



「アカネたん!」



「…………。」



「アカネちょん!」



「…………何?」



「ミーだよ!」



「だから何? 失恋中なんで邪魔しないでくれます?」



「グッ…ワ、ワタシ日本語ワカラナイネ」



こいつは自称ホームレスモードな外人でアホ人のシュバルツ。



私の幼なじみで吉田陽介と出会う切っ掛けを作ってくれた人、出身は西国の筈なのに頭が南国で出来たお気楽アホ人だ。



「で…何か用? アホ人」



「むーアホ人は失礼だと思うよ、あっちゃん…。それにどうしたの? はこっちのセリフ、よーちゃんと喧嘩したんでしょ? だからここに来た違う?」



「…………。」



無言の私を肯定と取ったのか彼は話を続ける。



「よーちゃんから話は聞いてきた。責任は取るだってさ、確かにそっちは大事だと僕も思うけどあーにゃんを蔑ろにしてまで頑張る話じゃない」



「…………。」



「僕はねアカネを幸せにしたかった。アカネを幸せに出来るなら自分でなくても良いと思った。」



「だから後押ししたと…。」



「うんそうだよ、でも…。」



「陽は私を裏切った。」



「ゴメン…。」



バツの悪そうな顔で少し顔をそむけるシュバルツ。



シュバルツはいつもそうだ私が幸せになるようにと色んな事をしてくれる。


両親が共働きで独りぼっちな私といつも一緒に居てくれて遊んでくれた。


小学校に上がってシュバルツとクラスが別になってしまい心細かった私にさりげなく色んなクラスの子と関わらせてくれてそのお陰で沢山友達が出来た。


中学に上がったくらいからシュバルツは一気に格好よくなった。

女の子からのラブレターと告白はいつもの事、彼は何時もそれを断っていた。

その度に私は女子に睨まれ時に虐められた。極め付きはそのいじめの筆頭だった女の策略でチンピラ達に犯されそうになった時だシュバルツは何時も助けてくれたけど今度は間に合わないと思っていた。


私の状況は縛られて目隠しされ服はチンピラ達に破られあってないような物。


あーもうお嫁に行けないな…子供出来ちゃたらどうしようかな…。


何て考えが頭に浮かぶくらい私はもう絶望で一杯だった。



――ドガッ! バコッ! ガシャン…。



チンピラ達の騒ぐ声殴り合う音になにかが割れる音。



それが静まったとき私の縄は解かれ目隠しは外された。



「アカネ! 無事か!」



シュバルツのイケメンフェイスはブサメンフェイスになっていた。



「ふ…ふふっ! アホ人その顔は無いわシリアスが台無しよ、ふふっ!」



私は安心して泣きながら笑った。

シュバルツが珍しく真剣で笑わせて来ないから途中から笑えなくなって本気で泣いた。


シュバルツは自分の上着を私に羽織らせ警察が来るまでずっと一緒に居てくれた。



それからだったシュバルツが接触する回数が減ったのは…。



一緒の高校に行った時だって私の側に居ることは殆どなかった。



私は耐えきれなくなって何で離れるか問い詰めたでもその度にシュバルツは海賊Aだったり村人Bに姿を変えて変な世界観で喋りだし誤魔化した。



今回のホームレスモードもその一つだ公園限定で彼が変える姿の一つだ。



私は大学生になりシュバルツに言ってみた「王子みたいな人結婚してみたい」と、それから数日後紹介されたのが吉田陽介だったのだ。



王子みたいな人それはシュバルツだ、てっきりシュバルツは察してくれると思ったが違ったようだ、そう思った時彼にとって私は幼なじみ以上に思われていないと感じた。


シュバルツは私から離れるように居なくなってしまった。大学を中退しブラジルに行ったそうだ、たまに帰ってきてはアホ人っぷりを発揮させるものだから私の考えすぎだったのだろう。


吉田陽介の事は嫌いじゃないたぶん結婚すれば良い夫婦になれるだろうと思うぐらいには好きだった。



でもまたシュバルツに会って沸き上がってきたこの気持ちは吉田陽介の時とは違う、じんわり染み渡るような暖かさで安心する感じずっとずっと封じ込めてきた感情。



「ねえシュバルツ」



「なんだい? アカネたん」



「貴方が好きだから結婚しない?」



「ぶはっ! な、何言ってんの!? アカネ」



「私ねシュバルツから彼を薦めてきてからずっと彼と幸せになれるように頑張ってきたのでもねやっぱり貴方が好き、私はアホ人じゃなくて日本人で歳くってるし貴方の好きな大和撫子タイプじゃないけど結婚してくれない?」



「え! いや…嫌じゃないけど何か違う! 何か飛んでるよ! 一段飛ばしてる普通そこはお付き合いじゃないの!?」



「だって貴方がアホ人じゃない内に言わないと逃げるでしょ? 罪悪感にうちひしがれている今じゃなきゃ貴方は真面目に聞いてくれない。

彼と付き合うようになってからは一回もアカネって呼ばなかったでもさっきは呼んでくれた!

その時確信したわ今しか無い今じゃなきゃ貴方はまた逃げてしまうってね、お願いだからあの日助けてくれた日みたいに逃げないで、貴方じゃなきゃ嫌なのアホ人になるのはやめてシュバルツとして私の思いに答えて、嫌いなら嫌いって言って全部直して見せるだから…だからっ!」



――ギュ!



「シュバ…ルツ?」



彼は一気に距離を縮め私を抱き締めた。



「僕の名前はアインシュバルツ・ウィルハート西国の第一王子、今まで黙っててすまなかった…。」



「へっ…? マジで!?」



「マジだ大真面目だ、吉田陽介は僕の家で代々執事をしている一族の跡継ぎでアカネを守らせていた。」



「え…じゃあ今まで私の側に居れなかったのは…?」



「父さんを説得させるために各国の要人達と顔繋ぎしたり王として必要な実力を身に付けたりして方々駆けずり回ってきた。

つまり根回しして来た。随分かかったよ世論を動かしたり父さん説得したり、これでアカネに振られたらどうしようかと思ったよ。」



「えっと…確認して良い? つまりシュバルツと結婚したら私は王族になっちゃうわけ?」



「そうなるね、あとさそろそろ時間だし早く行こ!」



「行くって何処に?」



「勿論僕の国、西国だよ」



「え! ちょ…待って明日会社!」



「会社の人には話つけといたから社長さんがね「死ねこの玉の輿」だってさ退職金もちゃんと受け取ってきたし問題なしその他の物も全部こっちが手配したからじゃあレッツゴー!」



「ええー!」



彼にお姫様抱っこされ公園の外に行くとそこには景観に全く合わない黒リムジンが待機していた。


私はそれに乗せられしばらくして今度は西国の国旗と王室の紋章が刻まれたプライベートジェットに乗せられ西国へ、あれよあれよという間に私は流され沢山の人に祝福されながら結婚式を挙げあっという間に彼の物になってしまった。



でも悪くないと思っただってアホ人の一面ばっかりだったシュバルツの凛々しい顔が沢山見れて彼からも愛を沢山注いで貰えるから…。


久しぶりに書きました。連載の方を書こうにもリアルの方がしんどくてそれどころじゃない、でもなんか書きたいそう思って短編を書きました。


連載特にキューピットの続き書きたいでもまた半年くらい書けなさそう何ですよねトホホ…。

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