第1診 連行@なごやかムードin覆面パトカー
「だってストレスたまってたんだもんっっっ」
穏やかな「どうした?」の声と、初めて訪れた外国で知り合いの日本人をみつけたときのような安堵感に、あいりは我を忘れず(多少かわいこぶって)泣きじゃくった。
事件はよく晴れた夏のお昼前。警察に、女の子があばれているとの通報あり。すぐに駆けつけた警官が見たのは、駐車場の地べたに膝を抱えめそめそ泣いている、見たところ17~9の少女だった。
もちものは?◯◯大学…連絡してみますか??いいや本人に聞こう
店の人と警官のそんなやりとりも聞こえたような気がする。
なにしろあいりは自分を取り繕うのに必死だった。泣きじゃくったのである。メイクはくずれてないかな?どんな顔してるかな。そんなことを考えながらも、店先のモノに当たったことをちゃんと謝って、おとなしく連行されたのでした。
とはいうものの、連行先の署では軽い取り調べ。そこでもあいりは年齢を取り繕ってみせた。おばさん婦警さんにちょっとしたイジワル。
そのおばさん婦警さんも認める“優しいお巡りさん”わたしあいりを安堵させたやわらかオーラのお巡りさんもいっしょに、あいりがメンタルクリニック通いと知り、そこで紹介状をもらい、大きな病院へ向かいます。
病院へ向かう覆面パトカーの車内はなごやかムード。それもそのはず、あいりは本当はおとなしい、イイコなのだから。