シャワーを浴びて
『はい、交代」
「のぉっ!?』
が、突如脳内に引きずり戻された。
『おい美羽、どういうつもりだ! せっかくお前の産まれたままの姿でシャワー浴びれると思ったのに、何故だ!』
「私がお兄ちゃんにいつまでも好き勝手させるわけが無いでしょ? 今日はもうお兄ちゃんに主導権は譲らないからそのつもりで」
『何故だ! 俺が何かお前に悪い事でもしたか!?』
『思いっきり胸揉みまくってたじゃないっ!!』
こっちに来て服着替える時に82回、森を歩いてるときに105回! どんだけ胸揉めば気が済むのよ!
変態さらけ出し過ぎなのよお兄ちゃんは!
『しかもお兄ちゃん、人間界にいたときも事ある毎に私の胸触ってたわよね? 通算何回か覚えてる?』
『昨日までの時点では、99822回だ』
『99812回でしょ! 量増しすんな!』
で、今日の分の187回を足して合計99999回! 人間界とラグナノヴァ広しと言えども、ここまで妹の胸を揉みたがる変態はいないよ!
……けど、そんなお兄ちゃんを見捨てずに慕い続ける私もとんだ恥女だよね。
「もぅ……。私の裸見るだけは勘弁するから、お兄ちゃんは大人しくしてて」
『安心しろ。俺はお前の裸だけでも充分満足だ』
「………………やっぱ却下」
『すいません俺が悪うございましたどうかその裸を拝ませてくださいお願いします』
脳内に浮かぶお兄ちゃんの謝り方が本気な事を確認すると、私は服を脱ぎ捨て、シャワーのバルブを捻った。
それと同時に、天井に据え付けられたノズルから暖かいお湯が。
それを身体中で受け止めると、当たった所から疲れが抜けていく……。
はっきり言って、超気持ちいいっ!!
人間界で浴びるシャワーじゃ、絶対こんな気持ちよさは感じられないよ。温泉みたいに大地のミネラルとかが沁みだしているのかな?
あ、ちなみに言うとシャワーの構造は人間界みたいにホースで繋がってるわけじゃなくて、十九世紀のアメリカとかみたいなパイプ式。それが壁に固定されていて、天井のノズル部分に伸びてる。
確かにこれ、異世界って感じするなぁ。
床もタイル張りじゃなくて、細かい凸凹が均等に付いた岩みたいなもの。排水溝もちゃんと付いてるし、案外不自由しないなこれ。