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兄と妹は身体を共有して異世界生活を謳歌することにしました。  作者: ノヴァ
第1章~異世界へやって来たけど何をしよう~
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プロローグ

 拙い作品ですが、読んでいただければ光栄です。

 素人なりに頑張りますので、よろしくお願いいたしますm(__)m

 気付いたら、僕は妹と真っ白な空間に立っていた。


「お兄ちゃん、ここ……どこ……?」

「俺が知るわけ無いだろ……」

 見渡す限り白一色、天と地の境目すら認識できない。

 何故自分達がこんなところにいるのか分からない。

 脳内に保管されている最後の記憶が正しければ、自分達兄妹(きょうだい)は普段と変わらない朝を向かえ、お互いに部屋を出た。

 しかし、その先が思い出せない。

 お互いに手を取り合って階段に向かったのは辛うじて覚えている。

 そこまでしか覚えていない。

「なぁ、階段に向かった後に何が起こったか覚えてるか?」

「えっと、階段……だよね。私もそこまでは覚えてる。……でもその先どうなったか、覚えてない」

 なるほど。

 つまり、その時不思議な事が起きたということになる。

 とある映画で似たようなシチュエーションがあった。

 数人の人間が突然未知の惑星に放り出され、高度な化学力と戦闘能力を持つ宇宙人と戦いを繰り広げる映画だったか。

 その映画に出てくる人間達は、普段と何事も変わらない生活を送っている最中に突如光に包まれ、気付けばスカイダイビングを強行させられていた。

 自分達もこれと同じなのではないか。

 階段を降りようとした瞬間に何者かに気絶させられ、ここに連れてこられた──憶測としてはこれが一番妥当だろう。


「全然ちがうよ?」


 その憶測を間違いだと指摘するような謎の声が耳に届いたかと思うと、目の前に一人の少女が姿を現していた。先程まで何も存在していなかった場所に、突然と。

 しかし少女が異質なのは一目で明らかだ。

 存在感がまるで違う。

 服装は自分達と遜色ないコーディネイト。髪も深紅や青等ではなく、ごく普通の黒髪。背丈もさほど変わらない。


 なら、この圧倒的な存在感はなんだ。


「あなた……だれ? ここはどこなの?」

「私? 私は『ガリアルド』。神様の秘書って言えばいいかな?」

「「…………神様?」」

 その発言に、二人はキョトンとした顔で少女を見つめることしかできなかった。

「そして、ここは人間界と異世界の狭間。一部の死んだ人間が来るところだよ」

「死んだ人間が──ってちょっと待て! って事は俺達は死んだのか!?」

「うん、そうだよ」

 一点の曇りもない笑顔で見つめる少女改めガリアルド。こいつは鬼畜か何かか。

 いや、そんなことより。

「教えて! どうして私達は死んだの!?」

「そんなの単純明快。階段から転落して全身打撲。はい、おしまい」

「おいっ! 俺達の人生を『はい、おしまい』で終わらせ」

「まぁそんなに怒らないで、『二ノ宮 未来(にのみや みらい)』くん」

「るなって──なんで俺の名前知ってるんだ?」

「知らないでどうするのさ。本名、二ノ宮 未来。性別男、年齢18歳、童貞、ごく普通の高校3年生、双子座のO型、趣味はアクションゲーム、彼女無し。まだまだ言えるよ?」

「もういい、その辺で止めてくれ……」

 ここまで自分の情報を暴露されると流石に嫌になってくる。プライバシーのへったくれも無い。

「えっと、じゃあ私の事も知ってるの?」

「もちろん! 本名、二ノ宮 美羽(にのみや みう)。性別女、年齢16歳、処──」

「あーあー聞こえなーい」

「──ごく普通の女子高生、双子座のO型、趣味はシューティングゲーム。彼氏無し」

「……全部あってる」

 それは未来の方も同じで間違いなど1つもない。正直童貞なのはキツいが。

 しかしここまで知っているならば、色々と情報が聞き出せそうだ。

 ま自分達以外にこの空間に存在するのが彼女以外にいないので、必然的にそうなるが。

「じゃあガリアルド、だっけ? どうして俺達がこんなところにいるのか、そっちの事情も含めて全部話してくれ。正直俺達混乱してるんだわ」

「いいよ。じゃあちゃんと聞いててね」

 ガリアルドはそう言ったものの、その話自体が半端なく長く、聞き続けるのが億劫になるほどだったので割愛して説明すると。

 1.現在、未来と美羽がいた世界──人間界で死んだ人間を、異世界へ転生させるプロジェクトが行われている。

 2.転生させる死者の選別は、絶えず流れる死者の名前入りの石を神が気紛れで網で何個か一度に掬い上げ、専用の機械でガチャポン方式で選ばれる(神がレバーを回して出てきた名前の死者を呼び出して、事情を説明した後に転生させる)。

 3.しかし今回神が回した際、誤作動で未来と美羽の名前入りの石が同時に出てきた。

 4.で、取り合えず呼び出した。

 という事らしい。

「でも1つ問題があるんですよ……」

「なんだよ、怒らないから言ってみなさい」

「何で立場逆転してるのかが分かんないけど……。実は、ガチャ一回で生き返れるのは一人だけなんです!」

「一人って事は……」

「どちらかはそのまま死んで貰うことになります」

 つまり、生き残れるのは二人に一人。

 二人は離れ離れにならなければならないということになる。

「でも、安心してください」

「これが安心出来るかっ!! 生きてる時は、自他共に認める最高の兄妹なんだぞ! 離れられるわけ無いだろっ!! 離れるなら二人一緒に死んだほうがましだっ!!」

「私もお兄ちゃんと同じ! お兄ちゃんの居ない世界で一人のうのうと生きる気は無いわ!」

 ガリアルドの空気を読まない発言に怒りが爆発。お互いに自分の思いをぶつける。

 二人がここまで互いを思うのに、理由など無い。

 両親は未来と美羽を残して交通事故で亡くなった。それからというもの、二人は助け合って生きてきた。その中で培った絆は、何物にも比べられない。

「あー、二人とも。話は最後まで聞いて。二人とも一緒に転生出来る方法が1つだけあるよ」

「二人一緒にって……本当なのか!?」

「本当本当。まぁ、その方法に二人が納得してくれればだけど」

 その言葉を聞いて、未来は美羽の眼を見る。


 断る理由なんて無い。


 美羽の瞳はそう告げていた。

 もちろん、未来も同感だ。

「……ガリアルド。その方法って、なんだ?」

「簡単に言うと、二人を合体させて、一人の人間として転生させるんだよ」

「が、合体……?」

「そう、1つの身体に2つの魂って形になるけどね」

 つまりそれは、人体の融合。

 国民的アニメの原作漫画では、人間とロボットが合体していたが、要するにそういう事になるのだろう。

 本当に大丈夫なのか不安はあるが、二人が生きる為にはそれしか無い。

 二人は互いを見つめ、決意の表情で頷きガリアルドに向き直る。

「ガリアルド。その話、乗った!」

「寧ろ、お兄ちゃんとずっと近くにいれるから、大歓迎!」

「うんうん、二人ならそう言うと思った! じゃあ、妹さんの身体に、お兄さんの魂をぶち込む方向でいいかな? 身体年齢はお兄さんに合わせて18歳、身体の所有権は互いの意思で可能って事にしとくね!」

「あぁ、そこんとこ任せた」

 餅は餅屋、転生は神の秘書。ということで、その辺りはガリアルドに任せる事にした。

「──よし、これで設定完了! じゃあこの中に入って」

 ガリアルドが指を鳴らすと、その隣に謎の機械が現れた。

 2つの人間一人入りそうな透明なカプセルがパイプのような物で繋がれ、2つのパイプの中間にはもう1つのパイプが生えており、その先は遥か上空に続いていて先が見えない。

 言われた通りカプセルに二人がそれぞれ入ると、機械が動き出した。

「今から少しだけ眠っててもらうね。次に目覚めた時は、二心同体の身体だから、その身体にお別れしてね」

 更にガリアルドが指を鳴らすと、二人の身体が光に包まれ始めた。それと同時に睡魔が襲ってくる。

「(これでこの身体ともお別れ……か。目が覚めれば、美羽とは二心同体。……なんだか可笑しな話だな……」)」

 18年間共に過ごしてきた身体に別れを告げると、二人は深い眠りの中に落ちていった。



 次回から異世界生活スタートです!

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