実は俺....
「くそっ......一件も連絡来ねぇじゃんかよ!!何でだよ!!」
苛立ちを隠せない河童は呟く。
うん。それはねきっとお前の名前なんてどうでもいいからだよ....
そんなこともわからないのか、このくそ河童は....
「ああ?誰がくそ河童だって?」
おおっと、どうやら聴こえていたようだ。
人の心でも読めるのか、こいつは。
なかなか珍しい河童だな。
まあ河童自体珍しいのだけれど。
さきほどまで怒っていたくせにそれを微塵も感じさせることもなく、河童は陽気に鼻唄を歌っていた。
「フンフフン、フッフ~♪」
実に下手くそ。なんてことを思っていると、
「そういえばお前....俺が見えるって言ってたよな?河童に見えるって。」
その言葉の真意がわからない。
河童に見えるも何もあなたは河童ですよ?
緑色してるし皿もあるし。
違うところといえば服を着ていてデザートを食べてるところくらいしか。
俺の眼に映るとおりに話すと、
「ほぉ、そうなのか。」
そしてあいつは言った――――。
「実は俺....河童じゃないんだ。」
ん、ん。ん....ん?ん!?え!?
嘘ですよね。どう見ても河童だよね。
「河童だけど....河童じゃないんだ。」
俯いて答えるジョン。
「どういうこ..と?」
俺は訊き返した。
お前は河童じゃなかったらいったい何なんだ。
「だからつまり河童だってことさ☆」
満面の笑みを浮かべて言う。
「..........」
「ナニヲイッテルンダコイツハ。」
「..........アハッ☆」
このしたり顔。うぜぇ。
「アハッじゃねぇ!シリアスな雰囲気ぶち壊しだ。謝れ!重い話だと思って聞いていた俺に!」
「全世界の人々に!」
「全世界の人々のために謝ってやってもいいが、お前のためには謝らん。」
「まあ、そんなことは置いといて今度行きてぇとこがあんだよ。お前を連れて。」
「何で俺なんだよ?河童の里とか言うなよ?」
「ああ、それはないから大丈夫。ちゃんと準備しとけよ?」着々とリュックに物を詰めていくジョン。
「は?ちょっと待てよ。いつから行くんだ?」
「今でしょ――――。」