赤ずきん少女、学校へ行く【2】
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「──学校!?」
台所にて。
セレアは母親から学校の存在を聞いて絶叫しました。
母親は言いました。
「そうよ、セレア。あなたもいい年頃でしょ? 将来の為にもそろそろ学校へ行くべきだと思うの」
「将来って何? 私はこれから何に進化しようとしているの? もう『赤ずきん少女』で充分なんですけど」
すると母親は何やらごそごそとポケットの中を探り始めました。
「今の世の中レギュラー一本だけでは食べていけないわ。他の物語の主役も奪うくらいないとこの世界で生き残れないのよ。ちょうど今なら金太郎の主役の座がガラ空きよ。トーナメントで金太郎をぶっ倒せば明日からはあなたが主役よ」
「赤ずきん少女にまさかり担がせて何をさせたいわけ? 子供に読み聞かせたら絶対気になって眠れなくなるって、そんなの」
母親はポケットから生徒手帳を取り出すと、それをセレアの手にしっかりと持たせました。そして壁にかけられた【女子生徒の制服】を指差しながら、
「旅立ちの服はあそこにかけておいたからね。魔王を倒して立派な勇者になるのですよ、セレア」
「何そのRPGの勇者が旅立つみたいなノリ。別に金太郎の主役奪ってまさかり担ぐ気もないし、そんなくだらない設定で──」
「ちなみにこのアイテムは白雪姫ちゃんが用意してくれたものよ。せっかくお友達が誘ってくれているのに」
セレアは急に闘争心を燃やしました。
「お母様。私、今からその学校とやらに行ってくるわ」
さっそくセレアは【女子生徒の制服】に着替えると、胸に思いきり詰め物をして学校へと旅立ちました。