赤ずきん少女と、果たし状【終】
それはある日の朝の出来事でした。
セレアはいつも通りにポストへ郵便物を取りに向かったところ、ポストの隣に大きな体格をした円らな瞳のクマさんが立っていました。
「うげッ! またあんた!」
セレアは顔を歪めて身をのけ反りました。
くまさんは言いました。
「ごめん。そういやあの時渡した果たし状……」
セレアは思い出して、ぽんと手を叩き合わせました。
そしてごそごそとポケットを探ります。
「あ、そうそう。あの時もらった果たし状、これ返すわね。私、金太郎じゃないし、それにあの人とは本当に何の関係もないから」
すると、くまさんはとてもショックを受けた様子でセレアの赤ずきんを見たまま、口を手で覆いました。
「あ、やべ。金太郎さんと間違えた」
「あんた、それ何回間違えば気が済むの!? 私は金太郎じゃないっつってんでしょ!」
くまさんは残念そうに項垂れて呟きました。
「あーぁ、やっちまったよ……。またやっちまったよ。いったいいつになったらこの“果たし状”が果たせるんだ?」
「そういうオチ!?」
セレアは怒って果たし状を地面に叩きつけました。
おしまい。
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