赤ずきん少女と……【19】
倒壊してしまったフラワーアセスメント・ビバリーヴィレッジ花丘学園を前に、セレアは呆然と“まさかり”を担いで見つめていました。
西の空に見えた夕日がとてもきれいでした。
その夕日を浴びながら、セレアは頬を引きつらせて言いました。
「くだらねぇー。チョーくだらないんですけどー。なんなの? これ」
するとそこに黒狼の少年がやってきました。
黒狼の少年はセレアに言いました。
「故郷の村に帰らないか?」
セレアはこくりとうなずきました。
「えぇ。帰りましょう」
黒狼の少年がセレアに手を差し出しました。
「手をつないで帰らないか?」
「はぁ?」
セレアは顔をゆがめて言いました。
「なんで私があんたとそんなことしなきゃいけないの?」
黒狼の少年は爽やかな笑顔でセレアに言いました。
「だって、またお前が寄り道するといけないだろ? だから、手。つなごっか」
その言葉にセレアは顔を真っ赤にして鼻で笑って言いました。
「はぁ? なんで私がそんなことしないといけないわけ? そんなことしなくても一人で帰れますぅー。寄り道なんてしないですぅー」
「いいからいいから」
黒狼の少年はセレアと手をつなぎました。
「な! ちょ、ちょっと! やめなさいよ! 恥ずかしいでしょ! なんで平気でそんなこと──」
セレアは顔を真っ赤に、必死で黒狼の少年の手を振り解こうとしました。
しかし黒狼の少年は手を離しませんでした。
やがて二人は仲良く手をつないで故郷の村へ帰りましたとさ。