赤ずきん少女と森のくまさん【1】
♪ ある日 森の中 くまさんに 出会った~ ♪
それはある日の朝の出来事でした。
セレアはいつも通りにポストへ郵便物を取りに向かったところ、ポストの隣に大きな体格をした円らな瞳のクマさんが立っていました。
「うげッ! あんたはあの時夢の中に出てきた──」
セレアは顔を歪めて身をのけ反りました。
くまさんは言いました。
「金太郎さん。今度、山で勝負しよう」
と、セレアに果たし状を送りました。
セレアは地団駄を踏んで怒りました。
「だ・か・ら! 金太郎って誰なの!? 私、金太郎と親戚でもないし、何の関係もないんだからね! 共通点があるとすればこの『赤』ってとこだけなんだからね!」
すると、くまさんはとてもショックを受けた様子でセレアの赤ずきんを見たまま、口を手で覆いました。
「あ、やべ。金太郎さんと間違えた」
「金太郎って何なの!? 赤以外に特徴がない人なの!?」
くまさんは残念そうに項垂れて呟きました。
「あーぁ、やっちまったよ……。またやっちまったよ。二度目とかマジありえないし」
とても落ち込んだ様子のくまさんは、そのまま森へと帰っていきました。
「ちょっ、待ちなさいよ! どーすんのよ、この果たし状!」