表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/34

【番外編】エレノアとリオネルの場合 ②

ちょっと短めです。


それからも私は穏やかな日々を過ごし、リオネル様も忙しい合間に私の様子を見に来てくれた。


いつ産まれてもおかしくないと診断されたその日の夜に突然産気づき、慌てて待機していた医師や助産師を希愛(のあ)が呼びに走る。


多くの侍女たちが清潔なタオルやお湯を頻繁に運ぶ中、私は激しい痛みに耐えながら、差し出された希愛の手を握った。



「エレノア様、もう少しですよ!」



「赤ちゃんも頑張ってますよ!」



希愛や他の侍女たちが背中や腰を擦りながら、ずっと励ましてくれた。


痛みのピークが来た瞬間、力強い元気な産声が部屋中に響き渡る。



「王妃陛下、おめでとうございます。元気な男の子でいらっしゃいますよ」



生まれたばかりの小さな我が子は、大きな口を開けて一生懸命泣いている。



「ふふ、小さくて可愛い」



疲弊して声がまともに出なかったが、待望の我が子に出会えて涙が出るほど嬉しかった。


人差し指を小さな手のひらに乗せると、ぎゅうっと思いのほか強く握られ、これはやんちゃな子になりそうだと微笑んだ。



「エレノア!」



リオネル様が息を切らして部屋へ駆け付けてくれた。



「陛下、元気いっぱいな王子殿下でいらっしゃいますよ」



助産師が白いタオルに包まれた王子を抱っこして見せる。


リオネル様の腕の中で、王子は小さな手を動かしながらほにゃほにゃ泣いていた。



「元気な子だ。エレノア、ありがとう。よく頑張ったね、本当にありがとう…」



リオネル様は王子の鼻をちょんと突ついて、「鼻の形がエレノアにそっくりだね」と嬉しそうに笑った。


希愛に王子の名前を聞かれ、生まれる前から決めていた名前を教えた。



「このこの名前は『エオル』よ。明るい未来を歩んで欲しいって意味を込めたの」



エオルはリオネル様の指を掴んだまま、また激しく泣き始めた。


どうやらお腹が空いているらしい。



「おっと、そろそろお食事の時間だね」



助産師がリオネル様からエオルを受け取り抱き上げる。



「エレノア、ゆっくり体を休めておくれ」



リオネル様が一時退室し、エオルのミルクタイムなどで侍女たちがまた慌ただしく動き始めた。


それが終わると、私は疲れた体を横たえて隣ですやすや眠るエオルを見つめた。


この子はこれからたくさんの愛情を受けて、目いっぱい伸び伸びと育つだろう。


リネアは弟にどんな反応をするかなと、別の部屋でお昼寝中の娘に向かって心の中で呟いた。




待望の王太子誕生ということもあって、国中が祝福の声を上げた。



「お慶び申し上げます!王太子様、万歳!」



「王太子殿下に神の祝福を!」



リネアは生まれたばかりの弟に最初の頃はおっかなびっくり接していたが、だんだんと世話を焼くようになっていった。


ミルクも率先してあげようとするし、おしめが濡れるとすぐに教えてくれる。


エオルの泣き声にいち早く反応して飛んでいくので、頼もしいベビーシッターになったいた。



「エオルはちいさいねぇ。かわいいねぇ」



眠っている弟のぷくぷくした頬っぺを見つめながらリネアはくふふと笑う。


弟が生まれてリネアが赤ちゃん返りをしたらどうしようかと心配していたが、それは杞憂に終わりそうだ。



「はやくエオルとえほんよみたい!」



「もう少ししたらエオルもお座りが出来るようになるから、そうなったらリネアが絵本を読んであげたらどうだい?」



リオネル様がリネアを抱っこして言う。



「えほんよんであげる!」



愛しい子供が二人で仲良く並んでいる様子を思い浮かべて、私もリオネル様も密かに笑い合った。



読んで頂き、ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ