眷属
「ヴァレフォールには10の眷属がいる。悪魔は眷属と共に出現するから、必ず近くにいるはず」
チアルは、ハルカの言葉を思い出しながら街を走っていた。
再生してもらった腕を大きく振りながら、眷属の姿を探す。
「チアル?やっぱりチアルだ!」
天使と人間がチアルの視界に入る。
「ナギサ!あと、……誰だ?」
電柱を飛び移ってくるナギサが言う。
「私の新しい仕事仲間。人間だけど強いよ」
「ふ~ん」
チアルはちらっとライを見やり、すぐにまたナギサを見る。
「今の状況を天使の長として簡潔に説明する」
チアルは地面に座り込む。
それを見て二人も地面に座る。
「ヴァレフォールが復活した。本体はハルカさんが処理したが、鶴見が死んだ」
鶴見が死んだ。
その一言で空気が一気にピリピリしだす。
「眷属がまだ残っている。そいつらを探すぞ」
その時だった。
空に天狗の様な影が現れる。
「【ドーナツホール】」
ナギサが人差し指と親指の輪の中に天狗を納める。
だが、天狗は直ぐに動き出し、チアルの背後に回る。
「【黄金の返り血】」
チアルがそう呟く。
天狗はチアルの背中に刃物を突き立てる。
傷口から血があふれ出る。
天狗がニヤリと笑う。
だが、天狗についたチアルの返り血は、光を放った。
「【BAN】」
その一声で、返り血が縄のようになり、天狗を締め付ける。
そしてライが一歩前に出る。
人差し指と中指でピースサインを作ってみせて、それを閉じる。
「【断罪】」
天狗はその首を切られた。
◇ ◇ ◇
「眷属を1体片付けました」
「そう、引き続き探索をよろしく」
ハルカはチアルからの電話を切る。
ヴァレフォールがこれだけで終わるはずがない。
5年前も私はヴァレフォールと戦った。
大阪全土を燃やし尽くし、日本を滅亡すれすれまで追い込んだ張本人。
第三次悪魔災害の原因だ。
もしかしてあれ自体が眷属……な可能性は?
いや、そんなことないか。




