紅朱同赤 参 その7
それでも、勝気なナベアツは何か言い返したい。
「そんな事ないって。多分オレらもち~ゃんとコンビネーションっちゅうのんしたら、勝てる思うで」
ヘコまない。
それがナベアツの良いトコ。
コーデュロイがナベアツと組んでる理由の、一つでもあった。
「そうか。そやな。ちゃんとやったらアイツらにも勝てるわな」
「勝てる勝てる。無駄な殺し合いにならんように、アイツらにもポスで宣言しとこうや」
ポスで宣言。
これをしてないと、相手を殺した時にお金が入ってこない。
「そやな」
「この辺うろついてたら、絶対また会うやろ」
「そん時までに、コンビネーションっつうやつを鍛えとかな、、、」
ナベアツが立ち上がった。
「ん?」
お尻を二度ほどパンパンとはたき、ナベアツが顎をしゃくって前方を指した。
「あれで鍛えよか?」
明かりの無い信号機の下に、ひらひらスカートを穿いたシルエットが浮かんでた。
コーデュロイも確認。
スカートを穿いているとはいえ、男か女か解らない。
いや問題なのは、この時間にこの結界内を一人で歩いていること。
間違いなく、EG使い。
「そやな」
コーデュロイも細いシルエットと、こちらが二人と言う点で少し優位に感じてしまっていた。
カメラモードにして、スマホを向けた。
まだ距離がありすぎて、ポスが反応しない。
コーデュロイはせめてどんな奴なのかを確認したかったが、ナベアツがもうちょっかいを掛け始めていた。
「は~~~いそこのキミ! お嬢さんでええんかな?」
ナベアツが声を掛けた。
が、歩くリズムが全く変わらない。
つまり、ナベアツの言葉を完全に無視する態度だ。
「なんや? 何にも言わへんの? バカにしとんのか?」
ブーツの踵がアスファルトに響く。
耳に響く音に、少しイライラした。
「何とか言えや!」
と叫んだとき、近付いて来るスカートが手に拳銃を持っているのが見えた。
「は?」
これは、二人ともだった。
スッ、、、と右手を前に出す。
キレイに銃口が自分の方に向いているのが、ナベアツは解った。
解っても動かない。
なぜなら、、、
EG使いに、拳銃の弾は当らない。
それは結界内の、常識なのだから。




