紅朱同赤 参 その4
さっきのナベアツを見ると、ヤられてからでも逃げれそうだ。
なら、、、。
――いっかい、受けてみるか?
ビッグさんの火球を考えると、コイツもレベル的に同じくらいの能力者だと予測。
念のため、纏う炎の温度を上げた。
ハイドロハイドが、これ見よがしに右手を前に出した。
――来る! 、、、??
波動の流れが、、、無い?
攻撃による、、、圧のようなモノを感じない。
が、スグ鼻の奥が熱くなった。
――これは、、、?
いや、自分の身体の一部が熱くなった訳では無い。
鼻、喉、そして肺に熱が伝わる。
熱が、自分の身体に入って来る感覚。
――オレの身体が熱いんやなくて、、、!
ナベアツのように、後ろへ跳んだ。
呼吸が楽になった。
しっかりと、視線はハイドロハイドを見据えていた。
「翔ちゃん、バレたかな?」
ビッグさんは普段、ハイドロハイドを実名の、翔ちゃんと呼んでる。HNが長いからだ。
「バレても、アイツらにはどうしようもねぇよ」
二人の言う通り、バレたのか?
確かに、遠目で見ても、管理者なる者がカメラ越しに見ても、これは分かりにくいだろう。
ただ、意外と勉強家のコーデュロイは仮説を立て、多分ヤツの能力はこれだとアタリを付けていた。
その能力。
ハイドロハイドは、空気を燃やす。
対象周辺の、空気を熱している。
鼻、喉、肺と順に熱を感じたのは肉体への攻撃では無く、熱いモノが鼻から入って来て単純に体内に熱を伝達したからだ。
入って来たのは、空気。
呼吸するために吸い込んだ、空気。
それだけの話し。
それだけだが、空気の温度がどんどん上がれば、最後には吸い込んだ空気の熱で肺を焼かれ、死ぬ。
正確には、気体なのか、細かい水分、液体なのか解らないが、人が呼吸をする時に吸い込む空気を熱で燃やしている。
EGの炎で纏ったのに何も感じなかったのは、自分への攻撃では無かったからだ。
ヤツの能力は、攻撃ではない。
単に、空気の温度を上げること。
吸った器官が火傷するほどに、温度を上げること。
それだけだ。
それだけだが、人は殺せる。
救いはハイドロハイドの攻撃範囲が、それほど大きくないこと。
ナベアツも、コーデュロイも、一歩下がっただけで熱から逃げられている。
ただ、、、
――フェイクだったら?
問題は、それだ。
EG使いが、戦闘中によく使う手だ。
自分の能力はこんなもんだと相手に思わせておいて、イザと言う時になったら見せていた能力を上回る全開でヤリに来る。
本当は、能力の範囲がもっと大きかったら?
本当は、もっと早く空気を熱せられるとしたら?
――勝てるか、、、?
冷静になれ。




