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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 四の章
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紅朱同赤 壱 その6

 何でわざわざそんな事をするのか?

 だってしっかり説明しないと、佳穂が怖がらないんじゃないかと思ったのだ。


 「今日もあっつい炎やで!」


 (あお)るナベアツ。


 「おう!」


 胸を張るコーデュロイ。


 「ななななななな何なん????」


 理解できたか怪しいが、佳穂が恐怖したのは間違いない。

 近づいて来る。


 「だき~しめ~たい~♪」


 有名なバンドの歌を歌いながら、佳穂に両手を広げて見せた。

 ゆっくり屈んで、歌詞通りに佳穂を抱きしめに来る。


 「溢れ~っる・ほっど~~ぅお~のぉ~~、、、」


 アーティスト張りの笑顔。

 ちょっとボーカルの声を真似てるのがハラ立つ。


 ――死ぬ、、、


 抱きしめられて、死ぬと思ったら、全然考えて無かった個所(ところ)が急に熱くなった。


 「あああああああ!!!!!!」


 勝手に悲鳴が出ていた。

 熱さを通り越して、痛みが奔る。

 叫びながら、佳穂は見た。

 左の足首を、コーデュロイに(にぎ)られていた。


 止まない悲鳴。

 自分でも出してる感覚はない。

 でも、佳穂の口からずっと出てる。


 手が、離れた。

 コーデュロイの手の形に、肉が焼け溶けていた。

 それを見て、また悲鳴が出た。


 「抱きしめられるぅ(おも)た? ざんね~ん。ぼく~、愛情表現はゆっくりタイプやねん」


 そう言った顔の横で、掴んでいた右手をうねうねと動かすコーデュロイ。


 「次はリクエストに応えたるわ。どこ握って欲しい?」


 佳穂の口からは、悲鳴しか出ない。


 「何も言えへんかったら、左眼焼くからな~。ほないくで、じゅうぅ、、、きゅうぅ、、、」


 数字を数え始めた。

 コーデュロイのカウントダウンが進む。


 「は~ちぃ、、、な~なぁ、、、」


 ただ佳穂は、何が起こっているのかが全く解ってない。

 見てるのに、自分がヤられてるのに解らない。


 脳が思考を止めてしまっているのだ。

 考えると、死の恐怖しかないから。


 「ろ~くぅ、、、ご、!」


 突如(とつじょ)轟音(ごうおん)がコーデュロイの鼓膜(こまく)を襲う。

 驚き、カウントダウンが止まった。

 何だ? と、その音のした方向を見る。

 轟音は着弾し、地面を揺らしていた。


 「何やコラ!」


 虚勢(きょせい)なのか、少し離れた場所に居たナベアツが叫んでいた。

 火の玉が、コーデュロイのすぐ横を(はし)ったのだ。

 あきらかに、ナベアツの出す火の玉より大きい。


 それを理解したのか、コーデュロイは目の前の佳穂から視線を外し、立ち上がる。

 ナベアツが(にら)む視線の先を、コーデュロイも同じように睨んだ。

 そこには彼らも知らない、二人組のEG使いが立っていた。



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