紅朱同赤 壱 その6
何でわざわざそんな事をするのか?
だってしっかり説明しないと、佳穂が怖がらないんじゃないかと思ったのだ。
「今日もあっつい炎やで!」
煽るナベアツ。
「おう!」
胸を張るコーデュロイ。
「ななななななな何なん????」
理解できたか怪しいが、佳穂が恐怖したのは間違いない。
近づいて来る。
「だき~しめ~たい~♪」
有名なバンドの歌を歌いながら、佳穂に両手を広げて見せた。
ゆっくり屈んで、歌詞通りに佳穂を抱きしめに来る。
「溢れ~っる・ほっど~~ぅお~のぉ~~、、、」
アーティスト張りの笑顔。
ちょっとボーカルの声を真似てるのがハラ立つ。
――死ぬ、、、
抱きしめられて、死ぬと思ったら、全然考えて無かった個所が急に熱くなった。
「あああああああ!!!!!!」
勝手に悲鳴が出ていた。
熱さを通り越して、痛みが奔る。
叫びながら、佳穂は見た。
左の足首を、コーデュロイに握られていた。
止まない悲鳴。
自分でも出してる感覚はない。
でも、佳穂の口からずっと出てる。
手が、離れた。
コーデュロイの手の形に、肉が焼け溶けていた。
それを見て、また悲鳴が出た。
「抱きしめられるぅ思た? ざんね~ん。ぼく~、愛情表現はゆっくりタイプやねん」
そう言った顔の横で、掴んでいた右手をうねうねと動かすコーデュロイ。
「次はリクエストに応えたるわ。どこ握って欲しい?」
佳穂の口からは、悲鳴しか出ない。
「何も言えへんかったら、左眼焼くからな~。ほないくで、じゅうぅ、、、きゅうぅ、、、」
数字を数え始めた。
コーデュロイのカウントダウンが進む。
「は~ちぃ、、、な~なぁ、、、」
ただ佳穂は、何が起こっているのかが全く解ってない。
見てるのに、自分がヤられてるのに解らない。
脳が思考を止めてしまっているのだ。
考えると、死の恐怖しかないから。
「ろ~くぅ、、、ご、!」
突如、轟音がコーデュロイの鼓膜を襲う。
驚き、カウントダウンが止まった。
何だ? と、その音のした方向を見る。
轟音は着弾し、地面を揺らしていた。
「何やコラ!」
虚勢なのか、少し離れた場所に居たナベアツが叫んでいた。
火の玉が、コーデュロイのすぐ横を奔ったのだ。
あきらかに、ナベアツの出す火の玉より大きい。
それを理解したのか、コーデュロイは目の前の佳穂から視線を外し、立ち上がる。
ナベアツが睨む視線の先を、コーデュロイも同じように睨んだ。
そこには彼らも知らない、二人組のEG使いが立っていた。




