紅朱同赤 壱 その4
それでも、、、!
――逃げろ!
使い物にならないのなら、引き摺って走る。
動く右足で、全体重を前に運ぶ。
――ここへ来た目的は?!
片足で跳んで、身体を運ぶ。
前へ!
――佳耶を助けるんや!
佳穂はモノアイの指示を忘れ、真っ直ぐ天満橋へ向かっていた。
その背に、あの叫び声が聞こえた。
「、、、サン!」
自分のすぐ横を熱いモノが通り過ぎ、2メートルほど前で爆発。
本能的に、腕で顔を庇う。
庇った腕に、爆風を感じた。
「きゃっ!!」
その衝撃に、思わず尻餅をつく。
背中から、笑い声が聞こえる。
――遊んどるな!
涙が止まらない。
立ち上がる。
逃げる!
――遊んどるやろ!
振り返らなくていい。
振り返っても見えるのは、二人の男に決まってる。
――こっちは命掛かっとんのに!
逃げる。
とにかく、逃げる。
――佳耶に会うまでは、絶対に死なへん!
佳穂の視線に、橋が映った。
その時、背中を大きな力で押された感覚。
「あぐっ?!」
訳の解らない力で、前に吹き飛ばされていた。
両手を伸ばして、地面に顔面を打つのはなんとか防ぐ。
でも、今度は右の膝も擦り剥いた。
「な、、、なに?」
何で背中を押されたのだろうと振り向く。
首を回すと、スグ後ろの地面に黒い焦げが、、、。
佳穂は理解した。
例の火の玉が、真後ろで爆ぜたんだ、と、、、。
「く、、、」
動かない。
思うように、身体が動かない。
痛い。
もう身体中、痛い。
ゆっくり歩きながら、佳穂に二人のEG使いが近づいて来る。
ナベアツと、コーデュロイ。
そして、その二人が佳穂の前に立った。
「なぁなぁ。ちょっと聞きたいねんけど、、、」
喋るのは、ナベアツ。
「あの動画、俺らへの悪口か?」
ちょっと前屈みになって、顔を佳穂の方へ近づけた。
恐怖で上体が引ける。
その動作が、ナベアツを興奮させる。




