紅朱同赤 壱 その3
佳穂は自分で気付いてないが、現在プチパニック真っ最中。
「右って、どこを右?!」
「どこでもええねん! 天満の交差点どこでも右に曲がれ! その辺ビルでごちゃごちゃしとるから、、、あ!」
佳穂がこけた。
火の玉がまた、佳穂を襲ったのだ。
「なかなか当たらんもんやの~」
先ほどより着弾が近かったので、弾けた路面の欠片が佳穂に当たっていた。
その場にへたり込む佳穂の足から、血が流れている。
爆ぜた小石に当たった傷と、こけて擦り剥いた膝。
涙が出ていた。
「あ、あたし、、、」
自分に付いた傷を見て、悲しくなった。
顔を上げると、EG使いが近づいて来るのが見えた。
「た、、、助けて、、、」
モニター越しにその映像を見て、モノアイは思った。
――これは、無理だ、、、
もっと簡単に考えていた。
カメラで状況を見て、イヤホンで誘導。
余裕ヨユーと思っていた。
間違っていた。
人をひとり、こちらの思い通りに動かす事なんて難し過ぎる。
でも今、声を掛けなかったら、この娘は死ぬ。
声を掛けてこの場は逃げれても、次は、、、?
モノアイは、スマホで電話帳を開いた。
――コイツや
電話帳に載ってるEG使いを、コール。
同時に冷めた眼で、モニターに映る佳穂を観る。
「味方は用意したで。辿り着けるかどうかは、佳穂ちゃん、アンタの運やな」
モニターには、痛さと恐怖でその場で悲鳴を上げる佳穂が映っていた。
動けないと分かると、追いかけて来た二人のEG使いはまた、ニヤニヤして走るのを止めた。
自分たちへの演出か、ゆっくり近づいて来る。
佳穂の、恐怖を煽っている。
「妹は、どうする?」
モノアイの声が、佳穂に届いた。
涙でブレてた、眼の焦点が合った。
近付いて来る二人。
――まだや! まだ、逃げれる!
悲鳴を上げながら、佳穂は何とか立ち上がった。
「あ!」
膝を擦り剝いた左足は、上がらなかった。
前にも出ない。
――何で?!
佳穂の足は、擦り剝いただけではなかったようだ。




