紅朱同赤 壱 その1
後ろを振り返った恰好で固っていた佳穂に、下卑た声が掛けられた。
「オマエやんのぅ? あの動画の女って、、、」
二人の男が、ニヤニヤ近付いて来る。
見た目から安物と分かる銀のスーツは、威嚇混じりのガニ股。
横に居るバンダナのヒッピーは、タバコなのかマリファナなのかよく解らない、ビミョーなのを吸っていた。
防犯カメラにも、その様子はしっかり映されている。
モニターを見ていたモノアイは、佳穂に怒鳴る。
「振り向くな! 前見ぃ!」
イヤホンから伝わる声に、佳穂が少し自分を取り戻す。
「足を止めんな! 歩け、、、走れ!」
何かが、弾けた。
佳穂の感情だ。
ついさっきまでモノアイと話していたEG使いの事。
笑いながら話していたが、総合して想像すると、、、。
――捕まったらヤバい!
EG使いとは、そう言うヤツら。
――多分、殺される、、、!
捕まったらどうなるか、容易に想像できた。
だから、佳穂は必死で走った。
「そうや! カメラで追ってるから後ろ見んでええ! 走れ!」
言われるまでもなく、後ろなんか振り返る余裕など無かった。
そんな佳穂を見て指さし、笑う銀スーツ。
「おうおう、逃げる気ぃや!」
横に立つヒッピーはまた一口、ビミョーなのを吸った。
吐く。
顔の前が、白い煙で覆われた。
「って事は、、、動画の女決定やね」
悔しいが、結界内の賞金ポスシステムを使ってカメラに映った男二人を照合し始めた。
「ちっ、、、」
舌打ちのモノアイ。
彼の性格として、自分以外のヤツが作ったプログラムなんか信用出来ない。
使う事自体、彼のプライドが許さないのだが、今は緊急事態。
ポスのデータで、二人のHNが画面に出た。
「はぁ?!」
銀のスーツが、“ナベアツ”で、ヒッピーが“コーデュロイ”と判明。
顔写真付きのデータに、特徴と懸賞金も載っている。
見て、さらに呆れる。
賞金は、30万と26万の二人だった。
能力も、クソだった。
「こんなショボいヤツに、、、!」
モノアイは歯軋りした。
その場に居れば、秒殺レベルのEG使いだ。
それなのに、、、。




