稚知謀大 陸 その4
もう一度、右の手を高輪流の髪に伸ばした。
止まってしまう。
自分の考えさえ自分の思い通りにはいかない。
それにちょっとハラが立った。
意地になった。
意地になって、手を伸ばした。
触った。
、、、触れた。
大した事は、無かった。
少し硬くなってゴワついた髪を、おでこから耳に流れるように指で梳いた。
――出来るやん
薄っすら、笑えた。
もういちど、指で梳いた。
そうしたら、よく解らない感覚が胸の奥に沸いた。
――感情、、、?
よく解らないが、梳いて、撫でるたびに苦しくなったり、痛くなったり、そのくせ何度も髪を梳いて撫でたくなる。
不思議な感覚。
お爺ちゃんが、教えてくれなかった感覚。
「流、、、」
呼んでみた。
あの時、呼び捨てでイイよって言ってくれたから。
あの時、呼べなかった自分が、今この状態なら呼べることにムカついた。
――あぁしって、何なんやろ、、、
解らない。
そんなムズカシイことは、解らない。
解らないが、とりあえず助けようと思った。
このひとだけは、絶対に助けたいと思った。
高輪流。
同級生。
普通に、挨拶してくれる人。
普通に、話し掛けてくれる人。
普通に、、、。
「行って来うね」
普通に、優しい声が出てた。
ベッドから離れ、病室を出る。
後ろ手にドアを閉めたまゆらの足は、結界へと向かう。
、、、、、、一時間後。
阪急梅田駅に、まゆらの姿があった。
そこからJR大阪駅を横手に梅田の交差点を堂々と御堂筋を通り、EG使いとエレクトリック・ゴーストが巣食う結界内に入っていった。




