稚知謀大 陸 その3
でも、その頃から稚坊さんやお弟子さんから抓られたり、小突かれたりしとった。
みんな爺ちゃんの前では優しいしてくれとうのに、すれ違う時や庭で会うたりする時はすぐ叩く。
そん頃から、あんまり道場行くのん嫌んなった。
毎日は行かんようなった。
てか、週に一回行ったらええほうになった。
だって、叩かれるもん。
無言で。
たまに、『オマエうっといねん』言うて、、、。
それはあぁしが“変な子”やからやと、ずっと思ってた。
あぁしの中に居る“変な子”が、みんなにそうさせとうと思ってた。
変な子。
それはあぁし。
だから、あぁしが悪い。
抓られんのも叩かれんのも、あぁしのせいやと思っていた。
そう思ってたけど、『それは違う』と教えてくれたんが珍晴やった。
6コ上。
爺ちゃん以外で、一応いっぱい喋ってくれるひと。
その珍晴に、中学ん時に言われるまで解らんかった。
年二回の、総会の時しか逢わんけど。
ホンマは、あんま好きちゃうけど。
だって珍晴は、何かいっつもヘラヘラしとう。
それに加茂の跡取りやから、あんま仲良うしたらアカンて言われとうし。
しゃーのに珍晴は、将来おまえと結婚するって勝手に言うとうし。
それを皆にも言うし、、、。
言うたら言うたであぁしん家と、珍晴ん家の雰囲気悪ぅなっとう。
中三で進路決める時に総会あって、そん時もまた珍晴がいらん事言うていつものイヤな空気になるし。
そん時にかぎって、ママ来るし、、、。
そんなん初耳や言うて、ホンマに結婚したら殺す言うし。
なんやったら加茂家全員殺して道具工場貰う言い出すし。
ママやったら多分、ホンマにするし。
出来てまうし。
さすがに本気でママ怒ったら、多分、爺ちゃんでも無理やし。
放っといて欲しねん。
あぁしの事は放っといて欲しいねん。
人間がごちゃごちゃすんのん、嫌いやねん。
大きい声出されるのん、嫌やねん。
しゃーから、家出とう。
爺ちゃんにワガママ言うて、一人で住んどう。
、、、出たけど、結局、お金貰てるし。
家は中学出たらすぐ修行って言うとうけど、勝手に高校決めて行くことにしたし。
爺ちゃんに泣いて頼んだし。
普通にさせて欲しいねん。
それであぁしは家とは関係ないって事にしとう。
もう総会にも何にも、家の事は手伝わんて言うとう。
跡継ぎの話しも、勝手にしてって言うとう。
なんの話してんやろ。
こいつの事、考えてたハズやのになぁ、、、。




