稚知謀大 伍 その2
動物園を通り過ぎ、学園坂交差点へ続く道に当たったら、左折。
ローソンのある交差点をまた北上すると、、、管理者との待ち合わせ場所、浪速日本橋郵便局がある。
角を取った優しい建物。
そんな感じを、李楠は見て取った。
「入るわよ」
李楠が言うと、無言で駱嘉が前に出た。
――あ、、、
守ってくれたのだ。
安全を確認できない場所。
そこで、日本のEG使いに初めて会うのだ。
油断は出来ない。
李楠は、自らも身を引き締める。
が、その後ろで隠れるように范蘇円が小さくなっていた。
――おめぇもEG使いだよな!
ま、戦闘系では無いにしろ、これだけあからさまに怖がられてはシラケる。
扉は開いていた。
駱嘉、李楠、范蘇円の順で中に入る。
灯りは、無い。
真っ暗と思われた室内も、目が慣れてくると物の輪郭がおぼろげに見えてくるものだ。
「こんばんは」
ギョッとした。
三人が三人とも、声のした方を慌てて見る。
影が、挨拶してた。
多分その影は、三人が入った時からそこに居た。
ずっと、三人を見ていた。
李楠は、本能的に感じた。
――こいつは、イヤなヤツだ
それに同意したのか、駱嘉を纏う空気が、ピリピリと音を立てるように鋭くなった。
対峙して、何秒? 何十秒?
時間の感覚が解らない。
それほど駱嘉の緊張感は周りを巻き込んでいる。
――怖い
守ってもらう立場の李楠でさえそう思うのに、対峙する男は、、、にこやかなままだ。
「あ、あなたが、、、管理者、、、?」
この状況が苦しくて、逃れるのには言葉を発するしか無かった。
「そうです。僕がこの結界内で管理者と呼ばれてる者です」
言葉を交わしても、イヤな感覚は消えない。
かといって、ここまで来てハイさようならは出来ない。
少なくとも注文したデータは貰わないと、自国に帰れない。
「早速ですが、私たちがお願いしていた、、、」
「いきなり本題ですか、、、ビジネスライクですね」
――ん?
強烈な違和感が、李楠を襲った。
ヤツに対しての、違和感、、、。
「仕事の話、早くないですか? もっと色々喋りたいな~」
――やはり、コイツとは絶対に合わない、、、
管理者の周りで、青白い光が走った。
「きゃっ!」
范蘇円が小さく悲鳴を上げる。
――EG波だ!!
攻撃されたのか?
たまたまか?
判断が付かない、、、。




