稚知謀大 肆 その9
一番近くに置いてる、佐山に作戦を考えさせた。
「良いっすよ」
エラく簡単に返事をされた。
ちょっと拍子抜け。
でもまぁ返事したんだから、佐山に任せる事にして自分は何も考えない事にした。
考えないようにしても、サイラーに褒められ出世してる自分と、モータルフラワーに殺されてる自分の映像が交互に脳内を駆け巡り、落ち着かせるためタバコの火を自ら押し当てる事を止めれない。
そこへ、佐山が帰って来た。
「お疲れっす」
「おう」
高山の女が半裸で居るというのに、佐山は気にしない。
いつもの事だ。
それに佐山の好みはもっとぽっちゃりだ。
そんな佐山は、高岡の知らないところで色々動いてる。
高岡から丸投げされた作戦を、どう進めるかちゃんと考えてる。
高岡を切るかどうか、そろそろ決め時だとも考えてる。
サイラーへの報告も、今は佐山がしている。
サイラーも、いつの間にか高岡より佐山を信頼し始めていた。
その証拠に、、、
「これ、貰ったんすよ」
佐山が、銀色に光る攻撃的なデザインのネックレスのトップを持ち上げ、高岡に見せた。
イカツイ感じが、何かカッコ良かった。
「へぇ、、、」
佐山は続けた。
「ちょっと嬉しいっス。サイラーさんが、頑張れよってくれたんス」
「えぇのう。えぇのん貰ったの」
ここで普通なら、何でオレの手下の佐山に、、、!
なんて思うところなのだが、今の高岡は死への恐怖で本当に文面通りの感想しか持たなかった。
「へへ。分かってますよ、俺なんかがアニキの役に立たないって。アニキはヤバい使い手やし、実際めっちゃ強いし。でも、それでも何か手伝える事があるんちゃうかなって。そう思ってた時にサイラーさんから声かけて貰ったんすよ」
「何て?」
少し高岡に近づき、小声になる。
「アニキの、、、高岡の横に付いたってくれって、、、」
「、、、サイラーさんが、そんな事を、、、」
みえみえの言葉と、ミエミエのプレゼントに感動する佐山と、その幼稚なやり取りを聞いて感動する高岡。
二人は、抱き合って泣いた。
高岡、は心の底から。
佐山は、、、。
――コイツ、もうアカンな、、、
今の猿芝居が、高岡を判断する佐山の最後の審判だった。
そんな心の内を、微塵も見せない。
バカな子分を演じ切っている。
「俺、ホンマ嬉しかったっス。これで堂々とアニキの横に立ってられるって思ったんすよ。マジで。いっぱい世話になってるし、アニキ、恩返しさせて貰いますわ!」
見事に涙を流して見せた。
そんな佐山に、高岡はさらに感動する。
二人の男が、わんわん泣きながら抱き合う。
その隣の部屋で、半裸の女の娘は、高岡の死を切に願っていた。




