稚知謀大 肆 その8
どこからとなく『おお~~』と野太い歓声が上がり、歓喜の野次が飛び交った。
半分は、その役が自分で無くて良かったという感情だが、それを表に出す者は居なかった。
もう半分は、アイツに出来るんか? という猜疑心。
そんな眼で見られていた高岡本人は?
肩を叩かれた事それだけで、サイラーが自分を認めていると感動すら覚えた。
、、、が、これは全てナンバーツーの三織優希が仕込んだ事だとは気付かない。
気付かないまま、ここ最近何の役にも立たないEG使いと影で噂されている、“10センチの爆弾”こと高岡聡介は命を掛けることになった。
そして今、、、。
あの後、詳しい事はナンバーツーの三織優希から聞け、とサイラーに言われたが別に詳しい事なんて何も無い。
とにかく、通天閣のモータルフラワーを25号線側に誘き出し、そこからさらに天王寺側へ引きずり込めと言う、なんとも大雑把な作戦を言われた。
やり方もクソも無い。
確か三織は、サイラーのブレイン。
皆から“参謀”と呼ばれてるのに、、、
「やれ」
この一言で終わった。
最悪だ。
三織は高岡に、さらにこう言った。
「こっちの準備が整ったらGOサインを出すから、それまでに準備しとけ」
絶望だ。
完全に、そっち次第じゃないかと拗ねる。
『やります』と返事をしてから、早二週間は過ぎている。
その間に女が逃げ出したり勝手にスマホを使われたりして、個人的にも大変だった。
作戦は、、、?
何も浮かばない。
浮かべようとも、無理なのだ。
あの、モータルフラワーを誘き出すなんて、無理。
絶対殺される。
動物園を抑えて、さらに通天閣周辺も掌握してるEG使いなんて、自分が適うはずがない。
殺されるイメージしか浮かばない。
高岡の頭は、自分の死で埋められていく。
あの後に一度だけ、サイラーに呼び出された。
「期待してるぞ」
と言われた。
「上手いことモータルフラワーを誘き出したら、10階に住まわしたる」
と言われた。
チーム内での、出世だ。
期待されている。
でも殺される。
頭が変になりそうだ。
だから、なにも浮かばない。
浮かばないので、高岡は丸投げしてみた。




