稚知謀大 肆 その4
だから結界内外に限らず、この状況を把握しているものは少ない。
なので、こう噂されている。
動物園には、ヤバいエレクトリック・ゴーストが居る。
それが外に出ないのは、通天閣のモータルフラワーのおかげ。
これが、ふたつめの理由。
この噂は、実に役に立っている。
ヤバいエレクトリック・ゴーストを、動物園内に閉じ込めてる。
それこそが、ヤバい、、、!
かなりヤバいEG使い。
通天閣のモータルフラワー。
真相はどうあれ、おかげで誰も手を出さなくなった。
動物園にも、通天閣にも、、、。
さっきも言った通り、モータルフラワーは杭を守る役を請け負っているに過ぎない。
その経緯、、、それはまた、別の話し。
とにかく、通天閣が平和なのはモータルフラワーのおかげ。
さらに動物園のエレクトリック・ゴーストが外に出ないのも、モータルフラワーのおかげ。
それが、結界内の常識になっていた。
この“おかげ話し”に、イラつく思いで過ごしている者が居る。
天王寺のサイラーだ。
天王寺と言う冠を持ちながら、天王寺の動物園を支配しきれていない。
これは傍から見ると、サイラーよりモータルフラワーの方が“上”に見える。
屈辱だ。
何をしようが結局は、自分の土地さえ満足に抑えられない、ショボいEG使いだと言われる。
サイラーにとって、それは最大の屈辱。
この二人の関係は、それぞれのチームの配下にも精神的上下関係を産んでいた。
天王寺のチームに所属する者たちは常に歪んだ精神で、一般人にも手を出す傾向が多い。
対して、通天閣のチームに所属する者たちは、その精神的余裕から地域の住人とも有効的な関係で、他のチームの者たちにさえ早々には戦おうとしない。
まずは話し合いを持ち掛ける。
これは互いのリーダーの気質をよく表していた。
今もモータルフラワーのチーム、“ウォーカーズ”のメンバー三人が、いつもの見廻りを行い、恵比寿の交差点から外周を25号線に沿って歩き出した所だった。
今夜の担当は西下、カンジ、トッポの3人。
この中で、EG使いはトッポだけ。
他の二人は、EG波を操る能力者ではないが、それなりに腕には自信がある。
一番年上の西下が入りたてのカンジに気を使い、しきりに話し掛けていた。
「どや、もう慣れたか?」
「はい!」
「ホンマかいな。オマエ見廻り何回目や?」
「え~、、、」
小指から順に指を立て、薬指、中指で止まった。
「三回目っす」
屈託なく答えるカンジに、少し後ろからついて来るトッポも親近感を上げた。
「それでよう、慣れたって言うたな~」
西下の軽いツッコミに、えへへと笑って応える。
二人を見て、トッポはこのチームで良かったと思った。




