稚知謀大 肆 その2
速水颯太の事件後、溢れかえったエレクトリック・ゴーストは動物園にも出た。
当然の話しだ。
始まりは、小さな憑依系のエレクトリック・ゴースト。
ソイツが、蟻に取り憑いた。
共喰いと同化を繰り返し、やがて地面に降り立った鳩に取り憑き一体化した。
それが園内の動物を、次々と捕食し始める。
肉体的に、ではなく、魂的に、だ。
空っぽの肉の器になった亡骸に、低級のエレクトリック・ゴーストが入り込むのは容易い。
結果、園内は動物の姿をしたエレクトリック・ゴーストが溢れ、共に喰い合い、強大化したり複合化したりして、歪な精神生命体を生み出すことになった。
モンスター。
その呼び名に相応しい生命体が、動物園内に誕生し始める。
こうなると、やってみたくなる事がある。
モンスターを、狩る。
その行為自体に興奮し、仲間を集う。
成りたてのEG使いがやりそうなこと。
そして、合言葉が流行る。
成りたてのEG使いが言いそうなこと。
「ひと狩り行こうぜ!」
これを腕試しと、名前を売りたいEG使いたちがエレクトリック・ゴーストを狩る目的で動物園内に入って行った。
、、、行くが、帰って来たものは居ない。
入ったEG使いの数は、15人。
15人入って、帰って来れた者は一人も居ない。
これはヤバい。
確実にヤバい。
動物園のモンスターは、一体化を好む。
つまりこれは、人間の知識レベルを持ったモンスターの誕生を意味する。
ヤバい現実。
だが不思議な事に、何故か動物園のエレクトリック・ゴーストは園内から出ない。
何でだろう?
解らないが、これが救いだった。
同種の波動を引き付け合う。
人と同じで、確かにEG波でもその現象は有り得る。
有り得るが、まさかそれだけの理由とは考え難い。
考え難いが、あまり考え事えをしたくない結界内のEG使いの間では『そういうもんだろう』と勝手に納得した。
彼らの結論、、、。
動物園からエレクトリック・ゴーストが出ない、二つの理由。
ひとつめ。
動物園内では複合化し凶暴化したエレクトリック・ゴーストが、互いが互いを喰い合う超弱肉強食フィールドと化した。
だから最後の一匹になるまで、動物園内からは出ない。
それが定説となっていた。




