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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 二の章
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蝶舞山揺 伍 その7

 でもすぐ鉄仮面(むひょうじょう)を取り戻し、波働は係長との会話を再開する事を選んだ。


 「そうそう係長のチーム、いちばん活躍した例の女子高生。名前何でしたっけ? あ! あべ、、、安倍、、何でしたっけ、確か、、、」


 ハッと思い出し、波働はパチンと鳴らした指を得意気に振る。


 「安倍まゆら!」


 その名前は、出して欲しくなかった。


 「いや、彼女はもう、、、」


 そんな大下の気持ちなどお構いなしに、波働は笑顔で攻めてくる。


 「なに遠慮してるんですか係長。この業界、まだまだ使える人間が少ないんですよ」


 大下は、(うつむ)いて身体を震わせた。


 「しかもあんな高等な術師、結界内(ここ)では自衛隊より貴重な存在だ」


 解ってる。

 そんな事は解ってると、大下は震えた。


 「どうせ彼女の知り合いを大怪我させ、入院させてる事に気が引けてるんでしょ? 勿体(もったい)無い。遠慮なんかしてる時間も人材も無いですよ」


 言いながら、テキパキと必要なモノを鞄に入れていた。


 「彼女ほどの使い手を、使わない手は無いですよ」


 顔を上げた大下。

 その顔が、初めて上司らしくなった。


 「口が過ぎるな」


 波働は悪びれもせず、課長の顔を真正面から見ていた。

 敢えておどけて見せてるのか、右手を胸に当てて肩をすぼめる。


 「欧米かっっ!」


 楓、今このツッコミは()らなかった、、、。


 「怖いこわい。怖いから僕、行きますね」

 「、、、」


 擦れ違いざま、波働はチラッと大下を見た。

 ちょっとイジメ過ぎたかな、と思い、振り返る。


 「あ、そうそう、その女子高生、今たぶん、結界の中に居ますよ」


 大下は、小さな目を丸くした。


 「!?」


 大下が驚いたのは、女子高生の現在の情報をこの波働が持っていると言うことだ。

 確かにこいつはイケ好かないが、ヤリ手であることに間違いは無い。

 この業界の関係者とも、何本も太いパイプを持っている。


 それがあの女子高生の情報を握っているということは、彼女もまた、この業界で重要な人物としてマークされている、という事だ。


 ――また、巻き込むのか、、、?


 大下は、例の速水颯太の事件の時、彼女の、“あの姿”を忘れられない。

 自分たちの仕事に、彼女を巻き込んではイケナイ、、、と勝手に思ってしまった。


 たかだか16歳の少女に、これ以上()()を背負わせてはイケナイ。


 それは、誓いにも似ていた。

 なのにこの男は、、、!


 「地元の術屋絡みの依頼で、最近ブイブイ言わせてるEG使いを捕まえに行ってるみたいです。この情報、怒らせちゃったお()びですよ。だからお礼は()りません」

 「礼は言わん。そのEG使いの名前は?」


 少し思案。

 大下と楓を、交互に見た。

 ま、良いかと波働は大下に教える事にした。


 「“ハピハピ”です」


 これがデンタイに火を点ける形になれば、勝手に安倍まゆらと繋がりを持つだろう。

 そうなればそのEG使いを捕まえるのが安倍まゆらだろうとデンタイだろうと、どちらでもあまり変わり無いと思った。


 「()()なEG使いですんで、気を付けてくださいね」


 何だったら、自分の仕事が楽になるかもと考えた。



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