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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 二の章
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蝶舞山揺 肆 その4

 彼は、EG使いではない。

 本物の、“術師”だ。


 ――しかも()()クラス


 李楠は、そう思っている。

 一度だけだが、現場で戦闘する駱嘉を遠目に観た事があるからだ。


 駱嘉は、強い。


 彼が気合を入れて何か(とな)えると、身体から赤い影が出てきた。

 その影は対峙していた五人のEG使いを、一瞬で五つの肉片に変えていた。

 赤い影は(きら)びやかな衣装を纏って踊ってるように見えたが、それは一方的な暴力を(ふる)っている姿だった。


 殺戮(さつりく)


 言葉と光景が、見事に一致した現場だった。

 後で李楠はボンクラ上司に聞いたが、彼の使っている“宿(しゅく)”は“蘭陵王(らんりょうおう)”と言う。


 マジで?

 と思った。


 ――蘭陵王って、伝説じゃん!


 って興奮した。


 ちなみに、、、

 “宿”とは、日本の術師が言う“式”とほぼ同義語。

 どちらも使役(しえき)する霊体の事だが、微妙なニュアンスの違いはある。


 式は自然霊、有格霊、怪異などが多いが、宿の(ほとん)どは実在した歴史上の人物とか、生物の霊を使った召喚霊に近い。

 どちらにもメリットは有るし、当然デメリットも有る。


 ()()に比較されるのが、EG使い。


 前者の二つに比べ、EG使いは後天的に開花したモノ。

 本来霊的干渉体質であっても、それが表面化するのはチョー(まれ)だ。


 現代社会において脳の意識範囲がそれとは対照的な部分を大量に使うようになり、論理的秩序を求めた結果、正解に余白を無くした思考が蔓延した。


 なので素質有る者が能力を開花するためには、相当な脳への負荷が必要になる。


 具体的に言うとアレだが、眼の前で家族が殺されるとか、死ぬより苦しい目に遭うとか、、、。(あくまで単純な例。他にも脳に負荷を与える方法はいくらでもある)

 これが、意識範囲を変えるキッカケになる。


 脳が変われば、見るものが全部、()()()()()に変わる。

 それは、その人の()()()()()()ということ。


 (くう)(しき)狭間(はざま)

 または、白と黒の階層。


 それを脳が知識として記憶する。

 それがどれくらい()る(もしくは知っている)のかは、観る人の記憶した数によって変わる。


 色で言うなら、例えば柿色とスカーレット色。

 この二色を並べて見て、脳に記憶(インプット)されてない人は『同じ色』と認識してしまう。

 二つの色の、違いを知らないからだ。

 でも知っている人からすれば、その二色は『違う色』と判断出来る。


 知らない人は、この二つは違う色だと聞いて見ても納得しうるまでに相当な時間を要するが、観て聴いて違いを判断できる材料を脳がしっかり持っていれば瞬時に判断できる。


 同じ色を観てるのに、、、。


 ここで問題がもうひとつ。


 二つの色は、違う。

 こう説明しても、ある一定数の人は()()()()()()()()


 ()()()()()()()()()()()()が居る。

 どういう事かと言うと、並べられた二つの色を見てこう言うのだ。


 「同じ色やん」


 または関心を放棄してしまう人はこう言う。


 「違いが解らん」


 反対に、知っている人の事を敵対視する人たちも居る。


 「解らんかったらアカンの?!」

 「そんなん知らんでも生きて行けるわ!」


 新しい知識の拒否。

 時代が新しい技術を取り入れようとする時にも起こる、“反発する人たち”のことだ。




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