策略謀略 陸 その6
駱嘉が問う。
「それはつまり?」
「あの周辺りで、EG使いはEG波を使えない。使うとオニヘイが来るから」
李楠の顔が、ニヤリとする。
その表情を見て、さすがに范蘇円も気付いた。
「あ!」
「やっと解った? つまり、あの日本橋伝いに行けば、EG使いに遭う確率がグッと下がるってこと。どう? そうしない?」
2人を順に見た。
どうやら納得したみたいだ。
駱嘉も范蘇円も、しっかり頷いてくれている。
そうと決まれば話は早い。
3人はスグ、浪速日本橋郵便局を出た。
EG波の揺らぎを察知させるため、范蘇円が先頭。
その後ろに、駱嘉。
それに肩を貸す李楠の陣形で、先ずはソフマップなんば店跡地を目指す。
日本に来て、初めて先頭に立った范蘇円はぶーぶー言ったが知った事か。
――働けっ!
先程と同じルートで進んでいると、信じられない“偶然”に出会った。
ソフマップなんば店跡地が見える距離まで来ると、瓦礫の下からひとりの人物が現れた。
ボサボサ頭。
年中マスク。
百舌鳥ヶ丘高校の制服。
スカートは踝まであるロング。
裾から見えるジャングルブーツ。
顔は知らないが、その容姿は結界の中で知らない者は居ない。
NG使いでありながら、EGも使えるJK。
その女子高生は3人をチラッと見たが、気に留めるでもなくまた前を向いて歩き出した。
「あれ、“安倍まゆら”だ!」
李楠は興奮して、身体が震えた。
――マジか?!
こんな偶然あるのか?!
堪らず、“安倍まゆら”の後を追おうとダッシュ!
、、、しようとしたら、グンっと肩を貸してるハズの駱嘉に引っ張られた。
「おいおい、オニヘイは?」
駱嘉にしてみたら、ドびっくりだ。
今さっき話したのは何だったんだ? って気持ちになる。
李楠、イラつく。
何で解らない?!
ついつい口調が荒くなる。
「そっちこそオイオイだ! 見たろ?! “安倍まゆら”だぞ! 彼女に付いて行くのが一番安全だ!」
「何を、、、?」
駱嘉が、何を言ってるんだと言う眼で李楠を責める。
范蘇円も、同じく李楠を責め立てる。
「さっき話したところでしょ?! EG使いたちに会わないように進むんじゃなかったんですか?!」
言ってる事とやってる事が違うじゃん! と声を荒げた。
范蘇円にしては珍しい。
ところがどっこい、李楠はオマエらこそ何言ってるんだと、声をちょっと荒げた。
「知らないのか?! “安倍まゆら”だぞ! いま他のEG使いが出て来たとしても、皆彼女に殺されるよ!」
そう言うと李楠は、スマホをカメラモードに素早く切り替えていた。




