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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 六の章
188/194

策略謀略 陸 その4

 多少の違いは()れど、戦闘要員として霊体を(かたわ)らに置く式持ちはそれを(つね)(おさ)え付け、命令に従わせなければならない。

 高等な人型だと当然、思考力の高さは他の霊体とは比べるまでも無い。


 扱いやすい虫型や動物型は、一度主従(しゅじゅう)関係を結んでしまえば滅多に(くつがえ)される事は無い。

 従順で、シンプルな短い命令なら確実にこなしてくれるし、扱いやすい。

 しかし項目が二つ以上の複合した命令になると、まず理解できるかが問題になる。


 犬を例に挙げると、『お手』と『待て』は出来るが、『お手の後()待て』と一度に二つの事をまとめて言うと、キチンと理解してくれるかアヤシクなる。


 何度も練習すれば、命令の『お手』と『待て』を()()()()()として理解できるようになるし、そもそも『お手の後()待て』じゃなく、『伏せの後()待て』と動作と思考が連結しやすいようにしてやれば、二つの項目でも最初から上手く出来たりもする。


 単純なモノほど、覚えさせてしまえば確実にこなしてくれるようになるのが特徴。

 弱点は、イレギュラーな事が起こった時に上手く対処できないところだ。


 反対に、人型は複雑な命令を理解できる。

 やった事の無い事でも、説明すれば頭で理解できて行動に移せる。

 非常に賢い。


 同時にそれは、“人間に嘘をつける知能”も(あわ)せ持つ、ということ。

 これが、やっかい。


 使役されてたモノが土壇場(どたんば)で裏切るってのは、歴史上幾度(いくど)も、しかも世界中で起こっている。

 式として使われながら、自身の存在価値である三大原則を実行するチャンスを、常に狙っているからだ。


 文字通り、ウソをついてでも()()げようとする。

 式に成った瞬間、そういった()()()()の最大の目的は、自分の(あるじ)を喰う事、、、になる。


 今まで自分を(したが)わせていた者を、(おか)す。

 犯しながら、殺す。

 殺しながら、()う。


 至福の時間。


 それを味わうために自分の実力を隠し、(みず)から(すす)んで式に成るモノもいる。


 術師が式を持つならば、必ずその能力を同等以下にすべし。


 そう言われるのは、今言った理由があるからだ。


 ちなみに、、、

 知能レベルの話しで、虫型、動物型、人型と分けたが、解り(やす)くするための比喩(ひゆ)に過ぎない。

 つまり、霊体、幽体、物の怪、妖怪その他八百万(やおよろず)の神々の(たぐい)は、見た目と知能が一致するとは限らないという訳だ。


 見た目は虫でも、()(つかさど)るモノも居れば、人の姿をしているのに欲(まみ)れで短絡的な行動しか出来ないモノも居る。

 そのモノの行動原理を知ろうとしなければ、どちらにしても自分の愚かさを思い知ることになる。


 だから式を持つこと自体、“並”の術師ではできない。

 そんな人型は一体でも扱うのが大変なのに、李楠が見たのは合計4体の人型。


 ――やっぱあれは、先頭の1体だけが式で、後ろは何か別の、、、


 考えれば考えるほど、思考が止まらない!



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