策略謀略 陸 その1
やはり直接ホテルに帰るより、李楠は管理者と“商談”をした浪速日本橋郵便局にいったん戻る事にした。
なにせ駱嘉が血まみれだ。
止血したい。
駱嘉は大丈夫だと言い張るが、無理して帰って途中で他のEG使いに遭いでもしたら、まず勝てない。
戦闘系は駱嘉だけなんだから、、、。
郵便局の扉は開いている。
中に入って、壁際のウォーターサーバーに一番近いソファに駱嘉を寝かせた。
水を飲ませるのと、身体をキレイにしてやれと范蘇円に言う。
これくらいしかできないだろう。
半分パニックになってたのが、やっと治まったところだ。
「さて、、、」
腕をケガした時、管理者はどこから救急箱を持って来たのか?
――確かあっちの奥、、、
と、李楠は顔を向ける。
階段横の通路を、入っていった記憶がある。
上にも下にも行ってない。
見てた。
その方向へ、李楠は行ってみる。
「あ、、、」
暗くて解らなかったが通路はまだまだ奥に続いていて、何かの部署のフロアだ。
開けていて、机と椅子がたくさん並んでいる。
――スグ帰って来たよな、、、
いったん消えた管理者が再度自分たちの前に現れるまで、そんなに時間は掛かって無い。
つまり近くに救急箱とか、そういうものが置いてある場所があるんだ。
「!」
半開きの戸棚を見つけた。
迷わずそこへ。
開けた。
「大熱門!」
管理者からあの時貰った救急箱と同じタイプのモノが、あと2個あった。
両方持って、駱嘉の所へ戻る。
少し落ち着きを取り戻したのか范蘇円は泣き止み、駱嘉はもう上半身を起こしていた。
「大丈夫なのか?」
「あぁ、スマン。不覚だった」
――それは私だろう
あのりんごの色が違っていた事に、気付いていた。
指令をする立場の人間なら、あらゆる可能性を鑑みて行動させるべきだった。
あの時の李楠は自身も戦闘に興奮して、思考がイケイケだった。
いつもなら最悪の場面をベースに考えて行動するのに、理由もなく“勝てる”と思い込んでしまっていた。
りんごりんごと言う女の、、、
――、、、りんごりんご?
「あ!」
思わず声を上げていた。




