策略謀略 伍 その5
カンジの背中を数秒見つめ、トッポが振り返る。
「西下さん!」
叫んで、手招きするトッポ。
肩に担いでいた、カンジが居ない。
それだけで、瞬時に西下は理解した。
向かって来た近藤に、大振りな蹴りを振り回す。
当然、近藤は西下の蹴りを躱すが、当たると一発で大ダメージなので大袈裟に後ろに跳んで避ける。
それで西下は、間合いを一拍取った。
――カンジを逃がすねんな
それが良いと、西下も手招きされる方へ。
カンジが逃げた反対側。
天王寺小学校の校舎に向かう。
それを見ていたタンクが、嬉しそうに口走る。
「あれ、小学校逃げ込みよんな」
超ラッキー。
無言で走り出そうとする近藤を、タンクが止めた。
「待て待て! 先に連絡や!」
タンクは佐山に電話を入れた。
なんたって佐山は始めに、動物園を超えた辺りで連絡をくれと言われていた。
『なんやったら小学校まで引き込んでくれてええぞ』
なんて無理な注文を付けられたが、ウォーカーズのヤツらは自分からその小学校に逃げ込む気だ。
「超々ラッキー!」
ビートイットが『?』の顔をしたが、タンクは上機嫌でスマホを掛けているところだった。
佐山に繋がる。
「上出来や。追い込むだけで、無理すんなや。勝ってもな、生きて勝利ってもんを味あわれへんかったら意味ないからな」
「そのへん、了解です~~」
佐山の考えを一番理解しているタンクは、ゆっくり歩きながら小学校へ向かう事にした。
連絡を受けた佐山は、すぐさま高岡に伝える。
「ウォーカーズを、こっちに引き込みました! 天王寺小学校です! 25号線から追い込んでますんで、高岡さんはそっちから小学校行ってもらえませんか」
「モータルフラワーは居てんのか?」
――第一声がそれか?! クソがっ!
「後から来ます!」
――多分な!
「小学校に居るんは何人や?」
――しょーもない事聞いてんと早ぅ行けや! クソがっ!!
「3人です」
「そうか、、、」
受話器の向こうで、高岡が立ち上がる気配がする。
「小学校やな。ようやった、佐山」
「任せましたよ! お願いします!」
――お願い、死んで来て~~~www
佐山は自分の演技に満足し、ガラケーを切った。
そしてスグ、三織の伝番を押した。




