策略謀略 伍 その2
追い詰められていた。
同じ攻撃を、同じように、飽きもせずに繰り返してくる。
時々、笑い声さえ上げる。
人としてどうなんだ? ってヤツらに、追い込まれている。
前衛で西下が近藤と肉弾戦を繰り広げると、その最中にパチッ、パチッっと、動きを僅かだが妨げる地味な攻撃を受ける。
そう、例の、熱したハリガネを押し当てられた時のような痛み。
地味だけど、かなり効く。
元空手家と元柔道家の攻防中に、捕まえたと思ったらパチッっとやられ、反射的に身構えてしまうところに打撃をくらう。
イライラする。
素早さとパンチに関しては確かに近藤の方が上だが、捕まえてしまえば一瞬で落とせる。
その自信は、満々にある。
打撃を繰り出す近藤にカウンターで合わせ、西下がその太い腕を伸ばして捕まえに行くと、パチッ、、、とやられる。
これを何度繰り返された事か、、、。
捕まえさえすれば、勝てる。
こんなチビに、絶対に勝てる。
その考えが、余計に西下をイライラさせている。
後ろで笑いながら、指をパチン! と鳴らすヤツが居る。
すると、ほぼ同時に西下の身体のどこかに、アレがくる。
叭魑ッ!
まただ。
どうしても、身体が反応して身を引く動作が入る。
その隙にパンチを入れられる。
そんな西下を見て、笑っているヤツが居る。
EG使い、ビートイット。
ウザい。
ウザすぎて、首を握力だけで折りたい。
必ず、折ってやる。
首を、握って折ってやる。
西下は近藤を相手にしながら、後ろでパチッっとやってくるEG使いを狙っていた。
だがそれに集中し過ぎると、タンクのデカい火球に狙われる。
それで動きが雑になると、眼の前の近藤の打撃を喰らってしまう。
――くそったれめ!
西下を援護すべく、トッポが後方に居るビートイットに攻撃を仕掛ける。
トッポの能力は、左腕を振れば火球が五個、相手を襲う。
火力と言うより、質量の攻撃。
熱さじゃなく、五発のパンチが飛んで来ると言った方が良い。
当たると、痛い。
我慢できなくもないが、身を引いてしまうくらいの威力は充分にある。
二発ほど、ビートイットは喰らっている。
殺す! と思ったがタンクに止められた。
「順番に、順番に、、、」
熱くなりやすいクセに、自分のこと以外は冷静というタンク。
圧してる状況を崩してまで、単に火球を飛ばしてくるEG使いにターゲットを変える必要は無い。
まずはガタイのデカい元柔道家ってのを、ヤれば良い。
最悪、近藤がやられてもその時はもうボロボロだろう、2人で簡単に倒せる。
その次が、あのEG使いだ。
確実に、一個イッコ潰していこう。
ビートイットも納得した。
「順番に、順番にやな」
ビートイットを狙うトッポには、タンクが攻撃を仕掛けるようになった。
タンクの能力は対象を3秒以上見つめると、見てたモノが爆発する。
息を止めて、顔が真っ赤になるくらい睨む。
3秒経つと、睨んだモノが爆発。
タンクがやるとショボそうな攻撃に見えるが、実際はなかなか使える投擲系の能力だ。




