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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 六の章
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策略謀略 肆 その6

 で、その視界の前に立つのは中年中肉中背の男。

 先っちょだ。


 楓とルネの視界の真ん中に、じっとりと汗ばんだ男が立ち塞がった。

 ヨレヨレの赤いトレーナー。

 聞いた事の無いメーカーのジーンズ。

 赤いスニーカー。


 「やだ~。出てきてくれたの? 良き良き♡」


 嬉しそうに迎え撃とうとしたルネを、いったん楓が押し戻す。


 「ちょい待ち」

 「なになに?」


 楓が自分の前に立って、先っちょに向かったのでルネは勘違いした。


 「ちょっとズルい。()()は私のモノよ!」

 「アンタはちょっと黙っとき!」


 楓が怒った。

 怒らすと長引くのを知ってるルネは、面倒くさいのがキライなので肩をワザとらしく一度(すぼ)めてから、2丁のハンドガンをホルスターに収めた。

 とあるアニメの主題歌を鼻歌で奏でると、散乱した店内に入っていった。


 これは多分、せっかくノリノリになったのに楓にストップを掛けられたのでテンション爆下がり。

 腹いせに、店内のワインでも頂こうとしているのだ。

 ルネあるある。

 楓は、佳穂の後を追わせまいとしている先っちょの前に出た。


 「宮崎佳穂が言うてた。アンタ、先っちょって言うん?」


 頷きながらも、纏うEG波が、、、(うね)る。

 間違いなく、戦闘モード。


 「助けたってんやろ? それはウチらと同じやん。やったら、闘うことないやろ」


 一瞬、波動が乱れた。

 先っちょの迷いが、EG波に影響する。

 だが、それもやはり一瞬。

 スグに戦闘モードに戻る。


 「そこビミョーやな。お互い佳穂ちゃんの味方でも、ココが味方同士になるとは、限らんのんちゃう?」


 『ココ』と言う時に、人差し指で自分と楓を指すように何度も揺らす。


 「いやいや。無理に闘わんでもええやん。こう見えてウチは物事(ものごと)をスマートに進めたい派やねん。どや?」


 先っちょは楓の言葉に揺らいだが、ふと思い出した。


 「もう一人は、そうは思って無いんちゃう?」

 「ルネか? あのコはウチが言い聞かせば大丈夫やって」

 「でもな、いっこ問題があんねん」

 「なに?」

 「俺、モノアイの息が掛かってる(モン)やで。ルネは、、、」


 右手の親指と中指で顳顬(こめかみ)を軽く(はさ)むと、溜息(ためいき)を付いて楓は(こうべ)()れた。


 「そかそか。そうなんや。そ~かそ~か。そやな。それはそやな、、、」

 「そういう事や」


 もう一度楓から、大きな溜息が漏れていた。

 うんうんとムリヤリ納得するように頷いてから、先っちょに話し出す。


 「ええわ。共闘は無理っぽいけど、あの()、、、」


 顎で、佳穂が去った方を指す。


 「ここまで助けてくれてたってのんは、感謝や。しゃーから、、、」


 腰に手を置き、楓は先っちょの顔を見直した。



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