策略謀略 参 その2
さきほど西下がタンクの胸倉を掴む直前にその手を引いてしまったのは、火に対する正常な人の反応だった。
この能力は、、、ウザい。
間違いなく、ウザい。
間髪入れず、近藤が西下にパンチとキックを続けざまに放ってくる。
下がると受けるを判断しながら対応しようとすると、不意に来る。
叭魑ッ!
「くっ、、、」
自分でも、思ってもみない体勢にさせられる。
防御していたハズの脇腹に、いいパンチを貰ってしまった。
少し屈んだ体勢の西下に、近藤は大振りのアッパーを放つ。
さすがにこれは躱す。
叭魑ッ!
「ちっ!!」
眼のすぐ横で、火花が散った。
反射的に瞼に力が入り、自ら視界を塞いでしまう。
その瞬間、無防備。
鼻先に、拳を貰った。
当たりは浅いが、鼻血は出た。
まぁまぁな手応えに、嬉しそうに余裕をかます近藤。
「うい~~~。ナイスっす! ビネ兄さん!」
近藤も、ビートイットの事を『ビネ』と呼ぶ。
どうでもいい話。
突然、赤い閃光が五つ!
恕恕恕恕恕ッ!!
「近藤!?」
ビートイットの顔を見ながら言葉を掛けたので、横を向いた近藤を衝撃が襲った。
タンクの声は虚しく、近藤はそのうちの一発をモロに受け倒れた。
「近藤ぉお!」
倒れた近藤を踏み付けに行く西下。
だが、、、?!
弩噤ッ!
軸足にした左の足元が、爆発した。
この威力はまさに爆発と言っていい威力。
現に西下は、二メートルほど吹き飛ばされていた。
「なめんなコラアアア!」
タンクだ。
「しゃがめ!」
赤い五つの閃光が、タンクを襲う。
ビートイットの声に素早く反応して、その場で地面に手を付いた。
深く、身を屈める。
頭の数センチ上を、火球が五つ通り過ぎる。
四つん這いのまま、飛んできた方向を見る。
「オマエかコラ、、、」
トッポがタンクを睨んでいた。
“間”が生まれる。
西下は素早く起き上がり、トッポの前まで退った。
近藤はタンクに手を差し出されるが、大丈夫っすよと自力で立ち上がった。
互いに、一旦距離を取る。
「西下さん、、、」
カンジが心配そうに、西下を見る。
笑顔で答える。
「なんやねんカンジ、ビビってんのか? 大丈夫や。オレとトッポだけでも勝てる相手や」
聞こえたのか、近藤が吠える。
「アホかコラ! オマエはオレにヤられとったやないかい!」
「ホンマや。鼻血出しといて、よう言うわ!」
タンクも同じように、吠えた。
が、西下はスッ、、、と背筋を伸ばし、2人を見ながらこう言ってみせた。
「じゃぁ、証明しようか」
西下が言うと、トッポも一歩前に出た。




