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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 六の章
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策略謀略 弐 その5

 先程アホ晴は円に対し、正式に依頼した形と言っていた。

 それは反対に依頼者として加茂家の名が出たら、言い逃れは出来ないということ。


 つまり、、、名前が出たら()()()()()()()()()()()()()()()()()と、念を押しているのだ。


 もっと平たく言えば、名前が出た瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()()()(おど)している。


 四術宗家に対抗して創られた御門家のひとつ、風御門。

 その性質は四術宗家で風属性を司るのと同じく、(おも)に道を(はず)した術師の粛清(しゅくせい)(にな)う。


 そんな風御門家、さらに関西道具屋最大手の加茂家を相手にしても、たった一人で戦える自信がこの円には有るらしい。


 結界内最強の使い手、“京弁天”の名は伊達(ダテ)じゃない、と言ったところか、、、。


 しかもアホ晴は、その自信の源を知っている。

 知ってるからこそ、こう答えた。


 「そん時は、ボクが、キッチリ、()()()()()()()()()から、それで、、、な」


 アホ晴の言葉に、白虎が笑った、、、ように見えた。

 円は手酌をやる。

 猪口(ちょこ)を口元へ持って行き、そのポーズのまま聞いた。


 「弟より、家が大事なんや、、、?」


 これにはさすがに、珍晴は笑顔無く答えた。


 「次期、、、当主やからな」


 ジッと見る。

 見つめる。


 呼吸、鼓動を感じる。

 纏う空気を感じる。


 円は理解した。

 口元の猪口を一気に開け、タン! と膳に置く。


 「それでええわ。珍晴、それで納得したるわ」


 真摯(しんし)に答える態度に、無事、円の中でアホ晴から珍晴に戻った。


 「あ~~! 良かったぁ~~!」


 そう言うと、珍晴はその場で大の字になって寝転んだ。


 「腕か足か、出さなアカン思てたから良かったわ~~」


 言ってチラッと円を見る。


 「ウチをどんな眼で見とんねん」

 「いや~、コウキ様がご立腹になったら、そうなるやん?」


 と言って、今度はチラリと白虎を見る。


 「ワシは人ではないが“ヒトデナシ”ではないぞ」

 「上手いこと言う! コウキ様は心も高貴なお方で良かった!」


 肩の荷が下りたのか、珍晴は早くもいつもの饒舌(じょうぜつ)に戻っていた。


 「そうそう。まゆらが結界に来てるって知ってた?」

 「まゆらが?」


 思った通り、まゆらの名前が出た途端、心配顔になる。

 昔からそうだ。

 どういう訳だか、何かとまゆらの世話を焼いている。


 「円ちゃん、可愛がってたやろ。雰囲気そのままやけど、大きぃなっとるで」

 「ウチは入学式ん時に()うとるけどな。アンタより会うとるわ」

 「なんや深刻な(かお)しとったで」


 ひとこと多い珍晴。

 ワザとそうやって、円の反応を楽しんでる。

 ちょっとでもさっきの仕返しをしてやろうと考える、性格の悪い珍晴だった。




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