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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 六の章
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策略謀略 弐 その3

 面倒臭そうに手で白虎の顔を押しやって、どんっと体重を預けた。

 まるで虎柄のクッションにもたれるよう、リラックスしていた。


 「せやけど珍晴、アンタようウチんとこ来れたな。()()()()しといて、、、」


 珍晴は満面の笑みで答えた。


 「ハイ。言い訳しに来ました」


 作り笑顔を作り過ぎて、(あき)れてしまう。

 女性も『ふんっ』と、鼻で笑っていた。


 「それ、聞く価値あるん?」

 「そこはそれ、同級生の(よしみ)ってことでぇ~~」


 先程までの、殊勝(しゅしょう)な態度は何処(どこ)へやら、、、。

 これ見よがしに手もみをし、作り笑顔でヘラヘラしてくる。


 「ホンマ調子ええわぁ。ま、、、聞くだけ聞くわ。聞くだけやで」


 そう言った女性に『ありがとうありがとう』と言いながら畳に拳を付き、ズリズリと擦り寄っていく。


 珍晴、お調子者。


 コホンと咳払(せきばら)いをして姿勢を正し、視線を胡坐(あぐら)の先に落とす。

 しっかりと、(こうべ)()れた。


 「加茂家が出した手配書、謀反人(むほんにん)田田田寺円(みたでらまどか)捕縛(ほばく)に関する事柄(ことがら)は、加茂家の本筋やのうて分家が先走ってやったことで、、、申し訳ない!」


 下げた頭をさらに下げ、(ひたい)を畳に(こす)り付けた。

 まゆらに対してとった言動とは、180度反対の事をやっている珍晴。


 肌襦袢の女性、田田田寺円は片膝を立てて、片眉も上げた。


 「分家ぇ~~?」


 珍晴が、そろ~~っと(まどか)を見上げると、、、(にら)まれてた。

 これはバレてると思い、スグに訂正。


 「あ~、やっぱり嘘です。分家に(そそのか)された寂石(じゃくせき)がやりました」


 徳利に残っている酒を白虎に呑ませながら、円はニヤリと珍晴を見た。


 「でしょうね」

 「はい」

 「あの、()ねっ(かえ)りの弟くんやな?」

 「はい」

 「どうしてくれんの?」


 言いながら、柏手(かしわで)を打つ。

 すぐに襖が開いた。

 円は、空の徳利を宙で揺らす。

 襖から覗いていた顔は、それを見ると頭を()れて下がった。


 「そこなんやけど~、困ったちゃんでして~」

 「なんやねん。ここまで来てんねんから、ハッキリしぃや」


 もう一度、姿勢を正す珍晴。

 二度目の咳払いをし、言い訳を続ける。


 「父の、、、当主の眼を盗んでやった事やとしても、対外的には加茂家が風御門家に円ちゃんの捕縛を正式に依頼した事になってまして、、、」

 「二十歳(はたち)越えとんねん、ちゃん()()め。ほんでそれは、、、? つまり、、、?」

 「撤回(てっかい)できませんすんません! 訂正できませんすんません!」


 再び額を畳に擦り付ける珍晴の横を、襖を開けた僧が追加の酒を持って入って来た。

 2人の会話を気にする事なく、空気のように徳利を盆の上に置いた。

 二本目は、熱燗(あつかん)



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