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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 六の章
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策略謀略 壱 その2

 でもそんな感情は、微塵(みじん)も出さない。

 先っちょ、なかなかに繊細(せんさい)


 「まさか。そんな偶然ないやろ」

 「ほんなら(なん)で? 今カギ開けたやん?」

 「結界内のコンビニのカギ、スペア全部持ってるぅ言うたら、ビビらへんw」


 振り向いて自慢気(じまんげ)表情(かお)

 そんな先っちょの顔を、マジマジと見る佳穂。

 先っちょ、テレる。


 「、、、はは~~ん、悪い人やな」


 その言い方で、佳穂に惚れてしまった。


 「アホ。悪ない、、、こともないか。そやな」

 「納得してもたやん。悪い人やん。アウトやん!」


 そう言って少し笑った佳穂に、先っちょは安心した。

 精神的には、まだ(つぶ)れてないみたいだ。

 大したお嬢さんだと、感心した。


 「落ち着いた? 自己紹介まだやったな。オレ、“先っちょ”って言うねん」

 「? さ、先っちょ? それ、下ネタ?」

 「アホ! ちゃうわ!」


 笑えた。

 2人で笑えた。


 「あたしは、、、」

 「モノアイの旦那(ダンナ)から聞いてる。宮崎佳穂さんやんな」


 頷いた。


 「よう頑張った」


 佳穂は、もう一度頷いた。


 「でも、まだやで。日本橋まで行って、そっからまた歩いて、妹さん助けに行くんやろ?」


 しっかり先っちょを見て、頷いた。


 「そのために、休憩も必要や。飲みもん取って来るから待っとき」

 「あ、パクリに行く気ぃや」

 「そや。ここでの事はオレが引き受けるから、佳穂ちゃんは気にせんと、、、」

 「ムリムリ。気にするわ。お金置いとこ~や」

 「それは自己満。一番に出勤したヤツがネコババするだけや」

 「え~。ほんだら飲みもんいらん」


 佳穂、結構自己主張けっこうじこしゅちょう

 先っちょ、説得開始。


 「飲まなアカン。妹助ける前に、ジブンが先倒れるで」

 「そんなん()うたって、、、」

 「オレが引き受ける()うたんは、後でキチンと店に説明してお金返すって事や。佳穂ちゃんは安心して飲んだらええ」


 佳穂、疑心(ぎしん)猜疑心(さいぎしん)


 「ホンマに?」

 「こう見えて、オレは結界内のコンビニと弁当屋界隈(かいわい)でまぁまぁ有名でな、信用あるからスペアのカギ(あず)かってんねん。少々の事も大目(おおめ)に見てもらえんねん」

 「信用すんで?」

 「してくれてええよ」


 佳穂は、大きく笑顔になった。


 「解かった。飲む。しっかり休憩したら、日本橋行ってモノアイに()うて、そっから妹助けに行く!」


 語気(ごき)が強くなった。

 それで良い。


 「それそれ。その感じで行こ」


 笑顔を残し、先っちょが店内に入った。


 ちなみに、、、

 結界内の七不思議の一つに、“コンビニ安全地帯”ってのがある。

 正確な理由は解らないが、鉄道のレールと同じで何故だかコンビニもエレクトリック・ゴーストにイタズラされ(にく)い。


 そのため一般人の緊急の避難所として使われたりするが、それを逆手に取ったEG使いが勝手に居座ったり取り憑いたりするのが一時多発した。


 そういった理由から信頼できるEG使いがオーナー側から依頼を受け、各店舗を警備する者が現れ始めた。

 先っちょはその中でも、かなり優秀な人材だ。

 その証拠に、昼間は弁当屋でも警備を請け負っている。


 そんな先っちょが、ドリンクコーナーの前で立ち止まる。

 悩む。

 好みが解らない、、、。

 外に向かい大声で、佳穂に聞く。


 「何系飲む? コーヒーか? 炭酸か?」

 「紅茶! ストレート!」


 元気な声が返ってきた。


 「はいよ!」

 「あ~~、出来たら、ウェットティッシュも! 顔拭きたい!」


 先っちょに甘える余裕も出る程に、、、。


 「あったらな」

 「あるやろ! コンビニやで!」


 全身が痛い。

 それでも笑えている自分が居る。

 佳穂は、先っちょに感謝した。



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