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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 五の章
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参差錯落 陸 その4

 問題は、安倍まゆらにそれが実行できるかどうか、、、。


 ――この女子高生、ホンマに人が殺せんのか?


 まるでモノアイの考えが観えたかのように、指を伸ばした右腕はそのまま、顔の前に左の掌を向けられた。


 もぞもぞと、肉が(うごめ)く。

 傷だらけの美しい顔が、その手に浮腫(うか)び上がった。


 ――なるほど、、、


 まゆらが出来なくとも、糸姫がヤる。

 史上最高位の術師なら、一切の躊躇なくヤる。


 「そういうことね」


 モノアイ、納得。

 (あきら)めて、素直に話すことにした。


 「ドクターは、サイラーん根城(トコ)るわ」

 「天王寺でっか。(とお)ぅおまんな」

 「今から行くんか?」

 「せやがな。ドクターはんを連れて行きたい場所(とこ)がありますんや、、、」


 モノアイが、ちょっと意地悪い笑顔を見せた。


 「何か?」

 「いや~、ソレちょ~っと(むずか)しいかも知れんで」

 「何でですのん?」


 質問される事は、モノアイにとってご褒美(ほうび)

 それは相手の知らない事を、自分がこれから“教えてあげる”立場になれるから。


 「ドクターの能力をサイラーが気に入ってもてな、、、ま、アレは見たら誰でも欲しぃなるわな。しゃーから無理やり“火の契約”っちゅう呪約(ちぎり)を交わしたハズや」

 「何ですのん、それ」


 またも質問。

 アガるモノアイ。


 「身体の一部に、呪のタトゥー入れられんねん」

 「たとぅ~?」

 「、、、刺青(いれずみ)の事」

 「ほんならそう言いなはれや。何でいちいち横文字で()うんや?」

 「文句はモノアイに()うて」

 「それはファイヤーパターンのタトゥーでな、、、」


 モノアイ、どんどん喋り出す。


 「、、、どこに()ってもサイラーの気分次第で、タトゥーを燃やすことが出来る術式。ファイヤーパターンがホンマにファイヤーってなるっちゅうヤツや」

 「子供じみてまんなぁ」

 「しゃーからな、『裏切りよった!』ってサイラーが思ったら、()()()()()()()燃やせるっちゅう厄介な術式や。逃げられへんな」


 自慢気に話すモノアイ。

 人の知らない事を知っているってのは、気持ちの良いものだ。

 しかも安倍まゆらと糸姫、このふたりを向こうに回して“教えてやる立場”なんて滅多にない。


 少しだけ“上から目線”で見てやろうと思ったら、帰って来たのは思わぬ反応。

 糸が、ケラケラ笑ってた。

 まゆらは少し首を傾げ、『だから?』みたいな表情(かお)をしている。

 モノアイ、とても不理解。


 何処(どこ)に居ても、念を送るだけで発動させられる術式。

 そんな術はチートで、防ぎようがないと思っていたのだが、、、。

 モノアイの不思議そうな表情(かお)を見て、糸が疑問に答えてくれた。


 「モノアイはんは、ホンマに逃げられへんと思いはったん?w」

 「、、、思うだけで術が発動すんねんで、、、?」

 「そんなしょーもない呪約、(やぶ)んのん簡単ですやんww」

 「え? どうやって、、、??」

 「いややわ~~w 掛けた本人、殺したら()えだけですやんかいさ~~www」

 「!」


 ――、、、なるほど


 言い得てみょー。

 っていうか、当たり前の事だった。

 術師の意思で発動する術式なら、そう()()()()()()()術は発動しない。


 「いや~~()えこと聞けたわ~。あんさん命拾いしはったなw」


 言うや(いな)や、全身に纏わりつく土蜘蛛のエレクトリック・ゴーストが突然竜巻に巻き込まれたかのよう、宙に舞い上げられた。

 モノアイを中心に、モノアイの視覚を(ふさ)ぐよう、派手に土蜘蛛が舞い上がる。


 「くっ!」


 思わず眼を(つむ)る。

 目尻に皺が喰い込むほど、力いっぱい。

 次にモノアイが、片目で部屋を見た時には、ふたりの姿は消えていた。



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