参差錯落 陸 その1
モニターの前のモノアイは、満足そうに画面の佳穂を観ていた。
「流石やな。相変わらず先っちょの能力はオモローやなぁ」
ハイドロハイドとビッグさんの二人を相手に、30秒足らずで能力の餌食にしてしまった先っちょを褒めて遣わしていた。
ウキウキ気分なので、独り言も自然とボリュームが大きくなる。
「もっとコイツにも、“貸し”を作っとかなアカンな」
はしゃぐモノアイの背に、エセ京都弁が掛けられた。
「ほんでまた何や悪い事でも企んでんのと違いまっか?」
「!」
ドびっくり!
モノアイ、椅子から飛び上がる。
拍子にキーボードとマウスが机から落ちる。
ガシャン! と音を立てたが、それよりも、解ってるが確認しなければならない事が、、、!
モノアイ、そろ~~っと振り返る。
「げっ、、、」
思った通りの人物がそこに居た。
ボサボサ頭。
年中マスク。
百舌鳥ヶ丘高校の制服。
スカートは踝まであるロング。
裾から見えるジャングルブーツ。
間違いない、、、。
結界内でちょー有名なJK。
「あ、安倍まゆら、、、」
忘れもしない。
自分を捕まえたJKだ。
「悪趣味な眼帯やね~。宇宙海賊気取りでっか?」
声を掛けたのは糸。
名前を呼ばれたまゆらはというと、あまり興味無さそうにモノアイが居る部屋の中を物色し始めていた。
ゲーム好きでCP好きなら目を輝かせるハイスペックな環境が整っている事に興奮しそうなものだが、まゆら、そういうのには今ひとつピンと来ない。
学校の授業でも触ったりするのだが、満足に理解できてない。
ギリ、スマホ。
そういう機器類がズラズラと並ぶモノアイの隠れ家に、まゆらの気を引くモノは無さそうだ。
「あ! それは、、、!」
CP類には興味が無いまゆらが背後に設置された巨大なガラスのショーケースに手を伸ばした瞬間、モノアイが慌てる。
焦った声に手を止め、チラリと一瞥。
アカンの? と睨む。
ガラスの棚に並べられていたのは、無数のフィギュア。
5センチほどのモノから、70センチくらいの大きさものモノまであった。
いろんなタイプのフィギュアが並んでいたが、共通するのは全部女性のフィギュア。
幼女のようなキャラから妖艶なフェロモン系まで、モノアイの背後で一堂に会していた。
「あ、別に触っても良えけど、ケッコー高価なもんやねん。触るんやったら大事にな、慎重にな、出来ればそこの手袋嵌めて汚さんようにな、、、」
なんかそう言われると、触る気が失せたまゆら。
ちょっとムッとして、伸ばした手を引っ込める。
「アンタはんに、聞きたいことがあるんやけど」
モノアイの視線が、自然とまゆらの左掌にいく。
そこに居るのは、、、
「、、、糸姫」
「あら~~、憶えててくれはったん? あん時以来やね。元気にしてはりましたんか?」
だらりと下げた左掌のあたりから、ハッキリ聞こえる陽気なエセ京都弁。




