参差錯落 伍 その15
ってことは、、、!?
――この笛、別モノ?
「早うEG波消して、ドロンしましょ!」
その珈琲の言葉を聞いた時、不意に李楠の視界が晴れた。
術が解かれたのだ。
感覚が自由になって、キョロキョロする李楠。
辺りを見渡す。
もう、二人のEG使いの姿は無かった。
「EG使い、素早~~い、、、」
完全に気を失ってる駱嘉と、まだギャ~ギャ~泣いている范蘇円は居る。
さらに近付く笛の音。
その笛の音の方を、見た。
「!」
青白い光が走って来る。
物凄いスピード。
何か叫んでる。
叫びながら走って来る。
李楠が観たのは、、、!
「エレクトリック・ゴースト及び火付盗賊改方である! 大人しく縛に付けぃ!」
「、、、んな?」
よく解らない日本語だった。
観ているのは、間違いなくエレクトリック・ゴースト。
人型とは思えない速さでやって来たのは、兜と笠の中間のような黒い帽子(?)を被った、袴姿(?)の侍なのか何なのか理解できないが、そんな人物というかそういうエレクトリック・ゴースト。
それを先頭に、さらに後ろに子分(?)らしき三体のエレクトリック・ゴーストを引き連れていた。
「ななななな何?」
ソイツはじっくり辺りを見廻した。
手には鉄製の、変な武器(?)らしきものを持っている。
李楠が知っている武器で言うと、釵に似た特徴的な形。
でも、ちょっと違う。
グリップに赤い紐が捲かれているが、長過ぎたかのか先が余っていた。
余った紐の先は、丸い形状に装飾結びされている。
李楠は、それが何なのか解らなかった。
先頭を走っていたエレクトリック・ゴーストが、李楠に歩み寄る。
迫力があった。
そう感じたのはエレクトリック・ゴーストのクセに、みょ~~に生々しかったからだ。
しかも武人の様、、、。
――あいや、日本なので、サムライか、、、?
でもネットで観た事のあるサムライの恰好とは似て非なるものだった。
ソイツは李楠から離れると、次に駱嘉と范蘇円をじっくり見分。
何やら思案したのかしないのか、引き連れて来た後ろの三体に一瞥して合図を送った。
そのうちの一体が、あの笛を吹く。
鄙避ィぃぃい~~~!!
近くで聞くとウルっサイ。
ピーピー吹いてエレクトリック・ゴーストの一行は、またもの凄い速さで走り出して行った。
「何だ、、、今の、、、」
李楠は、インプットしている記憶を紐解いていく。
エレクトリック・ゴーストの種類、、、。
やがて、これでは無いかと思う記憶に辿り着く。
「、、、あ! 自動式?!」
それは、、、条件が整えば具現化し、術者の意思から離れ単独で与えられた課題を勝手に遂行していく式。
それが、“自動式”。
初めて観た。
――ってか、レアだろ!
観た感じで言うと、かなり強いエレクトリック・ゴーストだ。
現に、自分たちがヤられたEG使いが逃げ出したのだから。
――何だろう? 何に反応して、何を攻撃する自動式?
じっくり考えたかったが、まずは駱嘉のケガの具合と、ホテルまで帰る段取りを優先。
二人の安全を考えれば、管理者と取引を行った場所に戻る方が良いか。
などと、意外と冷静に考えられている李楠だった。




