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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 五の章
157/192

参差錯落 伍 その14

 見事にヤられた。


 ――、、、クソ、、、


 悲鳴が聞こえた。

 駱嘉の名を叫ぶ悲鳴。


 ――この声は、、、范蘇円


 頼りにしていた駱嘉が爆弾に吹き飛ばされて、パニックになっていた。

 そうなると、自分の仕事ができない。

 それどころか何もかも放り出して駱嘉の(もと)に行き、血まみれの上半身を抱き起こして泣き(わめ)く。


 耳元で駱嘉の名を叫ぶが、駱嘉本人は范蘇円の声を遠くで聞いているような感覚だった。

 それより、起こされて揺さぶられる度に身体が痛い。

 抱き付かれても痛い。


 そっとしといてくれ、、、。

 そう言いたかったが、それすら声にならなかった。

 代わりに、意識が、、、遠のいていく、、、。


 (おのれ)の判断ミスの所為(せい)で、頼れる部下が瀕死(ひんし)になった姿を見つめる李楠。

 その身体を、強烈なEG波の衝撃が襲った。


 (ゴン)っ!!


 ――来た! わ、私か、、、?!


 悲鳴は上げなかったが、駱嘉がヤられるのをただ呆然と見る事しか出来なかった自分がターゲットになったのだと、瞬間的に理解した。


 首を振る。

 血まみれの、駱嘉が見える。

 それを抱いて、泣き叫ぶ范蘇円も見える。

 振り向くと、りんごりんごがニヤ付きながら近付いて来る。


 ただ、珈琲が、、、左手を前に出して動かない。

 珈琲の、()()(あら)い。


 「王手やな、、、」


 声は、珈琲が立っている場所より、もっと手前方向から聞こえて来た。


 ――なるほど、こういう感じになるのか、、、!?


 気付いた。

 さっきまで観えていた珈琲の式、マカが観えない。


 ――コンボだったのか、、、!


 今更ながら気付いた。

 珈琲の術を受けた駱嘉が、あんなに(あせ)っていたことを、、、。


 李楠は、覚悟した。

 覚悟したら、心が落ち着いた。


 落ち着くと、ふと、あの事を思い出した。

 術師とEG使い、どっちが強いか問題。


 今まで絶対術師だと思っていたが、新たにひとつの答えを見つけた。

 強いのは、自分の能力をより理解している使い手だ。と、、、。


 妙に冷静だった。

 自分の死を受け入れた人間は、こうも落ち着いて居られるのか。


 ――私は今から、ツインテールの死神に首を刈られるのか、、、


 もう眼を開けていても意味が無いと、その眼を閉じる。


 ――でもやっぱ、、、死ぬのは嫌だな


 泣き叫ぶでもなく、李楠は最後の瞬間(とき)を待った。

 耳に、笛の音。


 ――ん? 術にかかると、笛の()も聞こえるのか?


 どんどん近付いて来る。


 ――ん? え、、っと、、、何か変?


 思わず閉じた眼を開き、キョロキョロしだす。

 勝利したハズの珈琲とりんごりんごの様子がオカシイ。

 いや珈琲は、左手を前に出して動かない。

 術は継続中、、、?

 だが聞こえる声とそれに応えるりんごりんごが、あきらかにオカシかった。


 「姉さん“オニヘイ”や! ヤバい!」


 ――ヤバい?


 「今、、、? 嘘やろ?」

 「()うてる()()んで!」


 言葉通り、笛の音が大きくなってくる。

 ナニカが、近付いて来る!



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