参差錯落 伍 その7
届いた。
范蘇円の叫びは、ちゃんと駱嘉に届いた。
――首だな!
カマ握ってる。
首狙ってる。
范蘇円の言葉通り、紅迅を首の周辺に集めた。
金属音!
弾くカマ。
――助かった、、、!
駱嘉がホッとしたのは、フェイクを掛けられずに良かったと思ったから。
少女の死神が首じゃなく、他の所を狙ってカマを振り下ろしていたらと思うと汗が止まらない。
駱嘉は范蘇円を信じて、良かったと思った。
「へ~~、独立系なんや」
珈琲がとぼけた声で感心した。
それは、駱嘉の宿、蘭陵王が独自に動いていることに、だ。
式の“マカ”を出すが、珈琲は自分の眼で確認できる対象にしか攻撃を仕掛けられない。
言わば遠隔操作のような感じになる。
ほとんどのEG使いがそうだ。
なので珈琲は蘭陵王の宿主、駱嘉に幻術を掛けて視界を奪った。
なのに、りんごりんごを攻撃する蘭陵王の動きに澱みが無い。
答えは宿主の状態に関係なく、自分で判断し、自分で動ける独立系の宿となる。
「珈琲! コイツ強いわ!」
めずらしく、りんごりんごが弱音を吐いていた。
どうやら駱嘉の印象とは違ったらしい。
蘭陵王の剣を躱す動きに、焦りが混じり始めた。
「えっと、手伝います?」
「言う前に手伝え!」
――?!
不意に駱嘉の視界が、元に戻った。
珈琲が術を解いたのだ。
――一個体にしか術が掛けられないのか、だったら!
駱嘉の身体がしなやかに動く。
疾る。
「何?!」
思わず叫んだ。
視界の端に、カワイイ死神が入って来た、、、?!
珈琲の式、“マカ”だ!
駱嘉と並走し、さらに遠慮なく“カマ”を振ってくる。
マカのカマが、駱嘉を襲う!
「くっ、、、!」
走りながら身体を捻る駱嘉。
その横を、掠めるように巨大なカマが通り過ぎる。
危機一髪。
体勢を崩しながら一度地面に倒れたが、スグに起き上がりファイティングポーズ。
「惜しい~~~。もうちょっとで刈れたのに」
攻撃された事に、駱嘉が少し焦った。
――どういう事だ?
これは駱嘉の単なる思い込みだ。
自分に掛けられた幻術が解かれたので、式の死神も消えたと勝手に思い込んでいた。




