参差錯落 伍 その6
最近になって、やたらと結界内には色んな流派の使い手たちが入り込んでいる。
日本だけでも神道系、密教系、三陰系、陰陽系、和製魔術系などなど上げたらキリがないくらいの使い手たちが、結界内で何かしようとしている。
りんごりんご、気になる。
気になって聞いたら、横から否定の声。
「姉さん、そこ、聞かんでもええんちゃう?」
少しだけ驚いて、珈琲の顔を見た。
なんで? って顔。
それを見て、珈琲はあっけらかんと答えた。
「今から殺すねんし」
上に向けた左手のひらを右手の拳でポンと叩き、納得のポーズ。
りんごりんごは左頬に入っていたチュッパチャップスを、右の頬に移した。
「ホンマや」
疾った。
約5メートルの距離を、瞬きの速度で詰めてくる!
さっきもそうだったが、このりんごりんごと言う女、体術が恐ろしく凄い。
安っぽい言い方だが、達人だ。
高等な術師は高度な武術師。
李楠はそんな日本の諺を思い出した。
、、、、、、諺では無いが、、、。
朱ッ! 朱朱ッ!!
駱嘉が、りんごりんごの動きに驚嘆する。
予定よりも早く出したとは言え、蘭陵王だ。
その剣捌きは風よりも早く、獲物を斬る。
ハズなのだが、、、。
緩いフットワークでダンスを踊るような動きに、剣が掠りもしない。
――この女、蘭陵王の攻撃を躱している?!
剣の達人でその名を馳せた蘭陵王。
その宿だ。
動きや攻撃力は間違いなく、その当時に近いはず。
なのに、躱している。
マグレや偶然ではない。
ちゃんと眼で、蘭陵王の動きを観ているのが解る。
――何者?!
そう思った時、アレが来た。
厳ッ!
――しまっ、、、た!
最初に喰らったヤツだ。
迂闊だった。
りんごりんごの動きに見惚れてしまった。
これはもう、幻術に掛けられたって事か?
ここからさらに何か条件があったか?
駱嘉が視線を珈琲に向けた。
見ると、缶コーヒーを持つ手を前に出して立っていた。
立っている珈琲の、画像が粗い、、、!
――ヤられた。最初の衝撃で掛かるのか、、、!
振り返ると、李楠と范蘇円は普通に動いていた。
――これは、、、!!
「范蘇円! 少女の死神が観えるか?!」
駱嘉が叫ぶ。
「観える! アナタのすぐ横に、首を、、、!!」
半分悲鳴の混じった范蘇円の叫びが、駱嘉に必死に伝えている!
ツインテールの死神が身長くらいありそうな巨大なカマを、あなたの首を狙って振り下ろすところだと、、、!!




