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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 五の章
144/194

参差錯落 伍 その1

 浪速日本橋郵便局を出て、北上。

 東向き一方通行の道を左。

 『日本橋3』の交差点を目指すのは、李楠(りなん)駱嘉(らくか)范蘇円(はんそえん)


 スマホで地図を確認しながら、有名なソフマップなんば店跡地に向かっている。

 結界内では半導体の入った電化製品が使えないと聞いていたが、なかなかどうして。

 管理者がコーティングしてくれたスマホは快適だ。


 「濃いな、、、」

 「ほんと、、、」


 今のは駱嘉と范蘇円の会話。

 ソフマップなんば店跡地に近付くと、周りを漂うEG波の濃度が増す。

 無能力者の李楠でも、オーブやら小さいエレクトリック・ゴーストやらが浮遊しているのがその眼にハッキリ観えていた。


 感覚としては、都会育ちの都会っ子がキャンプ場で夜空を見上げた時、空にある星の多さに驚くような感覚に似ている。


 どこに視線を向けても、周りは小さなエレクトリック・ゴーストだらけだ。


 気を付けないといけないのは、ぶつかり合って不意に意思を持つエレクトリック・ゴーストに成る事。

 成った瞬間、、、ナニカして来る。


 先程の信号を渡り一区画過ぎた道を左に入ると、視界にコーンとポールで立入禁止にされている場所があった。


 瓦礫(がれき)の山。

 残骸(ざんがい)(あと)


 そこから小さなエレクトリック・ゴーストが、あとから後から湧いて出る。

 これが有名な、ソフマップなんば店跡地。

 建物が丸ごと、巨大ミノタウロスに破壊された場所。


 ――ミノタウロスだぞ! ヤバい!!


 李楠、アガる。

 この興奮を分かち合いたいと、李楠はいつもより高い声で駱嘉に聞いた。


 「ねえ。どんな感じ?」


 やはり何かしらの因縁(いんねん)がある土地には感じるモノがあるだろうと聞いたのだが、思ったのと違う答えが返ってきた。


 「かなりの使い手だ、、、」

 「え?」


 興奮して先頭に立っていた李楠が、駱嘉を振り返った。

 跡地(あとち)を見ていない。

 自分たちが来た反対方向を(にら)み、動かない。

 よく見たら范蘇円も、同じくシビアな空気を放っていた。


 駱嘉は少し前、自分たちに接近する気配に気づいた。

 ピリピリする。

 EG波が、波打つ静電気が活発になった証拠だ。


 どれくらいの使い手だろう。

 そう考え始めた時、李楠に『どんな感じ?』と問われたので、先程の駱嘉のセリフになっていた。


 「どちらさんでっか?」


 向かってくる影は、二つ。

 少し背の高い方が聞いてきた。


 ダボ付いたジーンズ。

 上着はオシャレなのか本当にボロボロなのか判断の付かないトレーナー、その上にオレンジで袖が白のスタジャン風のジャージを羽織っている。

 センター分けの髪は少しウェーブが掛かっていて、ウェットにセット。

 左手に、缶コーヒー。


 中指と親指で、(つま)むように持っている。

 そのまま不自然に口元まで持っていき、ひとくち。

 12~13メーターほど手前で歩くのを止め、立ち止まった。



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