参差錯落 伍 その1
浪速日本橋郵便局を出て、北上。
東向き一方通行の道を左。
『日本橋3』の交差点を目指すのは、李楠と駱嘉と范蘇円。
スマホで地図を確認しながら、有名なソフマップなんば店跡地に向かっている。
結界内では半導体の入った電化製品が使えないと聞いていたが、なかなかどうして。
管理者がコーティングしてくれたスマホは快適だ。
「濃いな、、、」
「ほんと、、、」
今のは駱嘉と范蘇円の会話。
ソフマップなんば店跡地に近付くと、周りを漂うEG波の濃度が増す。
無能力者の李楠でも、オーブやら小さいエレクトリック・ゴーストやらが浮遊しているのがその眼にハッキリ観えていた。
感覚としては、都会育ちの都会っ子がキャンプ場で夜空を見上げた時、空にある星の多さに驚くような感覚に似ている。
どこに視線を向けても、周りは小さなエレクトリック・ゴーストだらけだ。
気を付けないといけないのは、ぶつかり合って不意に意思を持つエレクトリック・ゴーストに成る事。
成った瞬間、、、ナニカして来る。
先程の信号を渡り一区画過ぎた道を左に入ると、視界にコーンとポールで立入禁止にされている場所があった。
瓦礫の山。
残骸の跡。
そこから小さなエレクトリック・ゴーストが、あとから後から湧いて出る。
これが有名な、ソフマップなんば店跡地。
建物が丸ごと、巨大ミノタウロスに破壊された場所。
――ミノタウロスだぞ! ヤバい!!
李楠、アガる。
この興奮を分かち合いたいと、李楠はいつもより高い声で駱嘉に聞いた。
「ねえ。どんな感じ?」
やはり何かしらの因縁がある土地には感じるモノがあるだろうと聞いたのだが、思ったのと違う答えが返ってきた。
「かなりの使い手だ、、、」
「え?」
興奮して先頭に立っていた李楠が、駱嘉を振り返った。
跡地を見ていない。
自分たちが来た反対方向を睨み、動かない。
よく見たら范蘇円も、同じくシビアな空気を放っていた。
駱嘉は少し前、自分たちに接近する気配に気づいた。
ピリピリする。
EG波が、波打つ静電気が活発になった証拠だ。
どれくらいの使い手だろう。
そう考え始めた時、李楠に『どんな感じ?』と問われたので、先程の駱嘉のセリフになっていた。
「どちらさんでっか?」
向かってくる影は、二つ。
少し背の高い方が聞いてきた。
ダボ付いたジーンズ。
上着はオシャレなのか本当にボロボロなのか判断の付かないトレーナー、その上にオレンジで袖が白のスタジャン風のジャージを羽織っている。
センター分けの髪は少しウェーブが掛かっていて、ウェットにセット。
左手に、缶コーヒー。
中指と親指で、摘むように持っている。
そのまま不自然に口元まで持っていき、ひとくち。
12~13メーターほど手前で歩くのを止め、立ち止まった。




