参差錯落 肆 その6
以前から扇町公園に、やや大型のエレクトリック・ゴーストが住み着いていると報告が上がっていた。
結界内で流れるニュース速報の“EG注意報”にも、その旨を注意するよう何度もスマホに警報が来ている。
これと三人を引き合わせれば、まあ、納得してホテルに返ってくれるかなと、、、。
大型のエレクトリック・ゴーストといっても、本部から来た三人ならばまず大丈夫だろうと武藤は考えいる。
何せ結界の調査のためにわざわざ来日した三人だ、反対にこれにヤられるような使い手だったら結界内のEG使いたちには歯が立たない。
程よい相手だと考えた。
で、そのエレクトリック・ゴーストを倒して気分上々で歩くと、橋を渡ればすぐ桜ノ宮駅。
ちょうど駅に出ましたとかなんか言って、気分の良いうちに三人を電車に押し込んで天王寺まで帰る。
これが武藤のシナリオ。
神山の交差点を越えてすぐ、あれだけはしゃいでたキースとマークが口を閉じた。
――さ、本番ほんばん
武藤の思惑通りに、まずは動き出したようだ。
キースが武藤を見て、ウィンクした。
「ナイスですムトゥー。波長が不自然に揺れてます」
ナチュラリスト。
彼らの言う、生まれながらの能力者。
または、特殊な力を発揮できる者たちを“信仰者”である彼らは、“神に選ばれし者”と呼んでいる。
信仰者からナチュラリストが出ると、スグに騎士修道会に入る。
何歳だろうが、能力が発揮された瞬間からその信仰者は騎士になる。
騎士になると何の勉強も修行もしなくとも、形式的には副助祭と対等に話せる立場になっちゃう。
ランクでは、上級職。
間違いなく、歪んだ組織構図になる。
キースやマークの性格も、そうなった理由がなんとなく解かる。
彼らは先に立場が出来て、今はそこに見合う勉強と修行をしている所だ。
ハミルトンがニコニコ見守っているのも頷ける。
「ホントだムトゥー! 僕も感じますよ!」
「あいやあの、、、」
マークも眼を輝かせ、興奮している。
「ありがとうムトゥー」
「あの、武藤です、、、」
ハミルトンには礼を言われた。
ちょっと心が痛んだ。
同時に、『武藤です』と何回も言い直す。
言い直しながら、ちょっと後ろめたさが、、、。
思わず武藤は、胸の前で十字を書く。
扇町公園のエレクトリック・ゴーストは、大型を含め12体ほど居た。
秒殺だった。
慈悲の心はどこへやら。
いや、騎士であり祓魔師でもある彼らが、最初から悪霊に慈悲を掛ける事など微塵もあるハズが無かった。




