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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 五の章
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参差錯落 肆 その6

 以前から扇町公園に、やや大型のエレクトリック・ゴーストが住み着いていると報告が上がっていた。

 結界内で流れるニュース速報の“EG注意報”にも、その旨を注意するよう何度もスマホに警報が来ている。

 これと三人を引き合わせれば、まあ、納得してホテルに返ってくれるかなと、、、。


 大型のエレクトリック・ゴーストといっても、本部から来た三人ならばまず大丈夫だろうと武藤は考えいる。

 何せ結界の調査のためにわざわざ来日した三人だ、反対にこれにヤられるような使い手だったら結界内のEG使いたちには歯が立たない。

 程よい相手だと考えた。


 で、そのエレクトリック・ゴーストを倒して気分上々で歩くと、橋を渡ればすぐ桜ノ宮駅。

 ちょうど駅に出ましたとかなんか言って、気分の良いうちに三人を電車に押し込んで天王寺まで帰る。


 これが武藤のシナリオ。

 神山の交差点を越えてすぐ、あれだけはしゃいでたキースとマークが口を閉じた。


 ――さ、本番ほんばん


 武藤の思惑通りに、まずは動き出したようだ。

 キースが武藤を見て、ウィンクした。


 「ナイスですムトゥー。波長が不自然に揺れてます」


 ナチュラリスト。

 彼らの言う、生まれながらの能力者。

 または、特殊な力を発揮できる者たちを“信仰者”である彼らは、“神に選ばれし者”と呼んでいる。


 信仰者からナチュラリストが出ると、スグに騎士修道会に入る。

 何歳だろうが、能力が発揮された瞬間からその信仰者は騎士になる。

 騎士になると何の勉強も修行もしなくとも、形式的には副助祭と対等に話せる立場になっちゃう。


 ランクでは、上級職。

 間違いなく、歪んだ組織構図になる。


 キースやマークの性格も、そうなった理由がなんとなく解かる。

 彼らは先に立場が出来て、今はそこに見合う勉強と修行をしている所だ。

 ハミルトンがニコニコ見守っているのも頷ける。


 「ホントだムトゥー! 僕も感じますよ!」

 「あいやあの、、、」


 マークも眼を輝かせ、興奮している。


 「ありがとうムトゥー」

 「あの、武藤です、、、」


 ハミルトンには礼を言われた。

 ちょっと心が痛んだ。

 同時に、『武藤です』と何回も言い直す。

 言い直しながら、ちょっと後ろめたさが、、、。

 思わず武藤は、胸の前で十字を書く。


 扇町公園のエレクトリック・ゴーストは、大型を含め12体ほど居た。

 秒殺だった。

 慈悲の心はどこへやら。


 いや、騎士であり祓魔師(エクソシスト)でもある彼らが、最初(ハナ)から悪霊エレクトリック・ゴーストに慈悲を掛ける事など微塵(みじん)もあるハズが無かった。



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