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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 五の章
141/192

参差錯落 肆 その4

 神父さん。

 そう素直に呼んで良いのだろうか、、、。


 確かに見た目はそうなのだが、言動(げんどう)はどうしてもそうは見えない。

 三人の神父。


 ジョシュ・ハミルトン。

 ラグ・キース。

 マーク・マグワイヤ。


 彼らは案内係のムトゥー、、、いや、武藤の案内で大阪駅に来ていた。

 JR大阪環状線は、夜もちゃんと運行されている。

 時間通り。


 この線路が結界と外界の境目だが、そこを走る電車には、絶対に被害は出ない。

 理由は簡単。

 この結界を創った速水颯太が、そういう風に創ったからだ。


 だから変に運休などしたもんなら、逆にエレクトリック・ゴーストが多量に出現し暴れ出して被害が大きくなる。

 それをJR大阪は、一度の経験でイヤと言うほどに身に染みていた。


 当然だが、結界内には他にも線路はある。

 近鉄線をはじめ、地下鉄各社。

 そのどれも、レールには被害が出ない。

 走行にも、一切の支障は出ない。


 これは意図(いと)したものではなく、速水颯太がこの結界を創るために使った道具、JR大阪環状線のレールとその上を走る電車本体が結界の重要な要素となっているからだ。

 その副産物として、結界内で生まれたエレクトリック・ゴーストたちは決してレールと電車には手を出さない。


 加茂珍晴(いわ)く、これは結界内のエレクトリック・ゴーストにとって、世界の(ことわり)と同義語になっているからだと言う。


 では、何が危険なのか?

 それ以外だ。


 大阪市内を走る、各線の電車は安全。

 移動にも、なにも損害は出ない。

 ただ、一歩でも電車から降りると、狙われる。


 試しに駅で止まったら、手を列車のドアから出してみるといい。

 そこだけ、持っていかれるから、、、。


 “結界の歩き方”というガイドブックにも載っているが、車窓からエレクトリック・ゴーストを見物するのはOKだが、窓や開いたドアから顔や手を出すのは大きく赤文字でNGと書かれている。


 それでもハイテンションの観光客は、その行為を止めない。

 窓やドアから一瞬手を出し素早く引っ込めるっていう、根性試し的な遊びが流行った。


 引っ込めた手。

 運が良ければ、無事。

 運が悪ければ、無くなる。


 酔っぱらうと危険な遊びをやりたがる人種が、必ず一定数居る。

 いざ自分がその状態にならないと、どれだけ危険な行為なのかを理解できないのだ。

 どんなに注意勧告しても未だに窓やドアから手を出し、その部分を喰われて欠損する事件が後を絶たない。


 翌朝駅員さんが、観光客が喰われた時に飛び散った血や肉片を拭く作業がイヤ過ぎて退職者が続出した時期もあったくらいだ。



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