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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 五の章
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参差錯落 肆 その3

参差錯落 肆 その3

 二歩ほど下がり、近藤は西下を確認。


 身長184・5センチ。

 体重90後半。

 ぶよぶよじゃなく、ちゃんとした筋肉の上に脂肪があるタイプ。


 身体がデカいだけで強い気になってる、しょーもない柔道家とは違う。

 それだけを瞬時に読み取った近藤に、後ろからタンクが聞いてきた。


 「どや? イケるんか?」

 「ハイ! イケるっス!」


 その答えに、一番頭に来たのはカンジ。

 一連の動きには圧倒されたが、もう落ち着いている。


 こんな《《チビ》》には負けない。

 空手家だろうがなんだろうが、負けない!

 腰に付けてた警棒を抜き、伸ばす。


 「お!」


 素早く近藤がチェック。

 構えを確認。

 右手で握った警棒に、左の手を()えるかどうか微妙な仕草。


 「はは~~ん」


 アイツは剣道やってたなと、近藤は見た。

 竹刀より持ち手が短い。

 、、、というか無いので、左手をどうすれば良いか解らなく剣道家あるあるだ。

 さすがケンカでは負けた事無いと言うだけあって、色んなタイプの相手と戦ってきた経験の蓄積(ちくせき)が近藤にはあった。


 「出過ぎるな」


 西下に言われ、カンジの顔が“?”マークになった。


 「かなりケンカ()れしたヤツだ」

 「え?」


 西下も、幾度かの修羅場は経験している。

 そこから、近藤の力を読み取っていた。


 「そういうヤツは躊躇(ためら)いなんか無い。人を殴る事を何とも思ってないからな」

 「自分も、、、」


 場の雰囲気に触発され、勝気(かちき)になっているカンジを(さと)す。

 カンジは、入って間もない。

 他のグループとの衝突も初めてだ。


 そんな時に変にヤル気を出されると、きっと空回りする。

 慌てるなと、カンジに言いたかった。


 「そう言うヤツは、オマエが()()()()()()()()ぞ」


 忠告と冷静さを(うなが)した、先輩の言葉だった。

 これは西下の体験談。

 人を殴る事に躊躇(ちゅうちょ)の無い人種は、こちらがイメージするより拳や蹴りのタイミングが一拍(いっぱく)速く感じる。

 初めてストリートファイトをした時に感じた、“実戦”の感覚だ。


 負けた?


 いやいや、苦戦したが西下は勝った。

 お陰で選手権でも、その経験が活かされ全国へ行っている。


 ――そうだ、、、勝てる!


 冷静に、的確に相手を攻めれば、蛇骨会の三人に勝てる。

 相手のEG使いが二人でも、勝てる。

 西下が、大きく息を吐いた。


 「来い」


 それだけ言うと、自分から近藤の方へ向かって行った。




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