参差錯落 肆 その3
参差錯落 肆 その3
二歩ほど下がり、近藤は西下を確認。
身長184・5センチ。
体重90後半。
ぶよぶよじゃなく、ちゃんとした筋肉の上に脂肪があるタイプ。
身体がデカいだけで強い気になってる、しょーもない柔道家とは違う。
それだけを瞬時に読み取った近藤に、後ろからタンクが聞いてきた。
「どや? イケるんか?」
「ハイ! イケるっス!」
その答えに、一番頭に来たのはカンジ。
一連の動きには圧倒されたが、もう落ち着いている。
こんな《《チビ》》には負けない。
空手家だろうがなんだろうが、負けない!
腰に付けてた警棒を抜き、伸ばす。
「お!」
素早く近藤がチェック。
構えを確認。
右手で握った警棒に、左の手を添えるかどうか微妙な仕草。
「はは~~ん」
アイツは剣道やってたなと、近藤は見た。
竹刀より持ち手が短い。
、、、というか無いので、左手をどうすれば良いか解らなく剣道家あるあるだ。
さすがケンカでは負けた事無いと言うだけあって、色んなタイプの相手と戦ってきた経験の蓄積が近藤にはあった。
「出過ぎるな」
西下に言われ、カンジの顔が“?”マークになった。
「かなりケンカ慣れしたヤツだ」
「え?」
西下も、幾度かの修羅場は経験している。
そこから、近藤の力を読み取っていた。
「そういうヤツは躊躇いなんか無い。人を殴る事を何とも思ってないからな」
「自分も、、、」
場の雰囲気に触発され、勝気になっているカンジを諭す。
カンジは、入って間もない。
他のグループとの衝突も初めてだ。
そんな時に変にヤル気を出されると、きっと空回りする。
慌てるなと、カンジに言いたかった。
「そう言うヤツは、オマエが思ってるより速いぞ」
忠告と冷静さを促した、先輩の言葉だった。
これは西下の体験談。
人を殴る事に躊躇の無い人種は、こちらがイメージするより拳や蹴りのタイミングが一拍速く感じる。
初めてストリートファイトをした時に感じた、“実戦”の感覚だ。
負けた?
いやいや、苦戦したが西下は勝った。
お陰で選手権でも、その経験が活かされ全国へ行っている。
――そうだ、、、勝てる!
冷静に、的確に相手を攻めれば、蛇骨会の三人に勝てる。
相手のEG使いが二人でも、勝てる。
西下が、大きく息を吐いた。
「来い」
それだけ言うと、自分から近藤の方へ向かって行った。




